2015 Fiscal Year Research-status Report
乳幼児期からADに罹患している子どもの学童期におけるセルフケア獲得過程
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15K20737
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
杉村 篤士 横浜市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20708606)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | アトピー性皮膚炎 / ステロイド外用薬 / 軟膏処置 / 子ども / 母親 |
Outline of Annual Research Achievements |
アトピー性皮膚炎(以下AD)の治療では、ステロイド外用薬を使用した軟膏処置が主軸を成しており、小児期に発症した場合はその軟膏処置を母親が担うことが多い。ADに対する学童期のセルフケアの獲得過程を研究するうえで、母親が子どもに対しどのような軟膏処置を行い、またどのようなことを不明瞭なまま実施しているのか調査した。 本調査では皮膚科外来に通うAD患児の母親を対象に、家庭で実施している軟膏処置を実演してもらい軟膏塗布方法の観察を行った。また軟膏処置の実演では、軟膏塗布範囲を手のひら1枚分に設定し、母親が実際に使用した軟膏塗布量を計測した。その後、母親・子どもの属性(年齢、職業など)や疾患の経過(発症時期など)、軟膏指導(指導内容など)・ステロイド外用薬使用に関すること(わからないこと、副作用への不安など)をアンケート調査し、分析した。 母親15名(93.8%)は軟膏指導を受けた経験があった。指導を受けたが実施できていないことでは塗布回数(7名)、現在でもわからないことでは副作用(5名)が最も多い回答であった。副作用の不安については、「ある」5名、「少しある」8名の計13名(81.3%)が不安があると回答した。副作用の不安の有無と軟膏塗布量の関連には有意差が見られなかったが、実演による指導を受けた母親の方が軟膏塗布量が有意に多かった(p<0.05)。ステロイド外用薬の軟膏指導では、母親の不安や理解不十分な内容に継続的に対応していくこと、塗布量をイメージできやすいよう実演による指導を交えることの必要性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度中に本調査の倫理審査を申請予定であったが、事前研究として軟膏処置の研究を実施したため、平成28年度に倫理審査を申請することに変更した。現在、他施設との打ち合わせも実施しており、研究計画の倫理審査申請に向けて順調に準備が進められている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度中には4施設の倫理審査の承認を受け、データ収集を実施していく。データ収集と分析を同時に進行し、平成29年度には分析した結果を学会に発表予定である。
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Causes of Carryover |
平成27年度に倫理審査を申請し、他県のデータも収集予定であった。しかし、事前研究を実施し、未だデータ収集に至っていないため、人件費や交通費に残額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
データ収集などに伴い、4施設(他県含む)に行く頻度が増えていくことが予想される。また研究データが収集されると逐語録の入力は業者に依頼することを予定している。そのため、平成28年度においては交通費や人件費で平成27年度の残額を使用する予定である。
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