2015 Fiscal Year Research-status Report
未就学児をもつシングルマザーが体験している育児上の困難とストレス要因の検討
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15K20738
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Research Institution | Nagano College of Nursing |
Principal Investigator |
佐々木 美果 長野県看護大学, 看護学部, 助教 (80620062)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | シングルマザー / 未就学児 / 育児ストレス / 蓄積疲労 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は未就学児をもつシングルマザーの育児におけるストレスや蓄積疲労、それらに影響を及ぼしている要因を明らかにするために本学倫理委員会の承認を得て、1次調査では無記名式自己記入式調査を行い、その後インタビュー調査の協力に同意を得られた母親を対象に、2次調査として半構成的面接を行った。1次調査は県内6市内に在住する未就学児をもつシングルマザーを対象とした。調査内容は就業状況、子どもの年齢等の属性、支援者の有無、育児ストレス尺度(清水,2002)、疲労蓄積度自己診断チェックリスト(中央労働災害防止協会)の自覚症状13項目である。調査用紙の回収は23.6%であり、得られた結果は統計学的分析を行った。母親の平均年齢は33.8±5.7歳、就業率は92.8%で非正規雇用が53.0%、年収は300万円未満が88.2%、支援者がいないと感じている母親は28.7%であった。育児ストレスは非正規雇用、年収300万円未満、支援者がいないと感じている母親が有意に高く、支援者がいないと感じている母親は、蓄積疲労も有意に高かった。また蓄積疲労は育児ストレス因子の「育児に伴う不安感」「体力体調の不良」「子どもに対するコントロール不可能感」「育児に伴う束縛感」において正の相関があった。以上より非正規雇用のため収入が低く、支援者がいないと感じることが育児ストレスに影響しており、支援者がいないと感じることは蓄積疲労にも影響していることが示唆された。看護者は母親の就労および生活状況や支援状況を明確にしたうえで、子育ての状況を判断しサポートしていく必要がある。 2次調査は1次調査で得られた情報を基に、日常生活の困難とストレスの関係、ストレスにより感じている症状、現在の支援状況と今後期待する支援について、27名に半構成的面接を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度の研究計画通り、2次調査の実施を終了している。1次調査で、未就学児をもつシングルマザーの属性や育児ストレス、蓄積疲労を明らかにし支援の必要性について示唆を得られたことから、研究計画の目的の1つである、未就学児をもつシングルマザーの育児上のストレスの実態を明らかにするという目的は達成されたと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
現在2次調査のインタビュー内容の逐語録を作成している段階であり、今後質的分析を進めていく。また、1次調査における育児ストレスや蓄積疲労における関連性の検討を行う。結果から未就学児をもつシングルマザーの育児上の困難やストレスに影響している要因について、看護の必要性を深く掘り下げて考察し、未就学児をもつシングルマザーにとって必要な育児支援を検討するための示唆を得る。
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Causes of Carryover |
2次調査のインタビュー調査において、協力者との日程調整に時間を要したため、調査期間が予定より長期となった。そのため一部の逐語録の外部委託をこれから依頼する予定となり、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は逐語録作成(業者への委託)および国内学会発表、翻訳料、関連図書の購入、報告書印刷に使用したいと考えている。
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Research Products
(1 results)