2017 Fiscal Year Research-status Report
特別養護老人ホームにおける認知症高齢者への排便ケアモデルの構築に関する研究
Project/Area Number |
15K20786
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
内藤 智義 浜松医科大学, 医学部, 助教 (90632422)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 認知症高齢者 / 排便ケア / 専門職連携 / 特別養護老人ホーム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、特別養護老人ホーム(以下, 特養)における看護職・介護職が実践している認知症高齢者の排便障害への各専門職のケア内容、専門職種間の連携・協働がつくりだすケア内容を明らかにし、特養における認知症高齢者への排便ケアモデルの全体像を考案することである。研究は次の過程を経て目的の達成と考えている。①1つの特養に勤務する看護職・介護職を対象に認知症高齢者の排便障害へのチームとしての対応をインタビューから質的記述的に分析する。②複数の特養の看護職・介護職を対象に認知症高齢者の排便障害へのチームとしての対応をインタビューから質的記述的に分析する。③ ①②の結果から、特養における認知症高齢者への排便ケアモデルの全体像を考案し、ケアモデルの妥当性と課題を検討する。 上記の目的を達成するため、平成29年度は、複数の特養の看護職・介護職を対象に認知症高齢者の排便障害へのチームとしての対応をインタビューから質的記述的に分析した。下記の文中の【 】はカテゴリーを示す。 研究参加者は3施設の特養に勤務する看護職8名であった。データを分析した結果、8のカテゴリーを抽出した。特養の看護職は【スムーズな排便により落ち着いた生活を保障する】ために、認知症高齢者と介護職の双方に働きかけていた。認知症高齢者への直接的な働きかけとして【下剤管理システムの運用と排便困難な対象のスクリーニング】などのプロセスを中心として、【対象者との関係性を築く】を基盤に【対象者の視点から便意をとらえ排便につなげる】といった排便ケアがあった。また、介護職への働きかけとして【介護職と連携して行う排便ケアシステムの構築】といった媒介的な排便ケアも存在し、入居者の生活に密接に関わる介護職の目や手を介して認知症高齢者の排便障害に対し治療的・予防的な介入をしていることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成29年度は、これまでのインタビュー調査の分析結果に基づき、排便ケアモデルの全体像を考案するところまで至れなかった。理由としては、研究者が所属機関を異動したことにより、研究室の整備やその他の環境に変化があり、研究計画の遅延が生じた等のためである。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、出揃ったインタビュー調査の分析結果に基づき、本研究目的である認知症高齢者が「その人らしく、心地よく排泄する」ことを支えるケアとはどのようなものなのか、ケアモデルの全体像を考案していく。また、考案したケアモデルは、インタビュー調査の研究参加者に内容をフィードバックし、妥当性と課題を検討していく。
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Causes of Carryover |
平成30年度は、これまでの研究成果に関する学会発表や論文投稿などを追加して実施する予定であり、その際の費用に使用する。
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