2015 Fiscal Year Research-status Report
トゥレット症候群のチック症状に対する当事者独自の対処行動の実際
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15K20790
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Research Institution | University of Human Environments |
Principal Investigator |
三浦 藍 人間環境大学, 看護学部, 講師 (10438252)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | トゥレット / 現象学的看護研究 / 当事者体験 / CBIT / 認知行動療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究の目的】 本研究の目的は、トゥレット症候群の当事者がチック症状をコントロールするために独自に行っている身体的・心理的な対処行動の実際を明らかにすることである。本来、チック症状は不随意な神経運動であり、コントロールできないものとされている。しかし、トゥレット症候群の当事者の多くが、自己流のチックの対処方法を身につけ、実践している。本研究では、その独自の対処行動を現象学的看護研究方法を用いて分析し、明らかにする。 【研究の実績】 平成28年度には、上記の目的に鑑み、研究計画書を練り直し、人間環境大学研究倫理委員会の承認を得た。研究倫理また、研究依頼のために、NPO法人用、インタビュー対象者用に平易な言葉を用いた研究計画書を作成し、これも同様に研究倫理委員会の承認を得た。現在、インタビューの準備は十分に整っており、平成28年5月22日に開催予定のNPO法人トゥレット協会の総会後に研究依頼およびインタビューを実施する予定である。また、上記と並行してトゥレット症候群(特にCBIT)に関する先行研究の資料収集を進めている。加えて、Woods,Douglas.W. et.al. , Managing of tourette Syndrome,2008,Oxford Unversity Press. の翻訳分担者として翻訳作業にも当たった(今年度中に丸善出版より刊行予定)。 【研究の意義と重要性】 本研究によって、トゥレット症候群の当事者達が実践している対処行動を明らかにすることは、未だ対処行動を身に着けていない当事者が新たに対処行動を考案する際の参考となるだけでなく、医療関係者がCBIT(トゥット症候群の認知行動療法)を実践する際の一助になると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成27年3月に梅花女子大学看護学部を退職し、平成28年度4月より人間環境大学看護学部に就職したため、研究環境が当初の想定より大幅に変わったため、研究を進めることが困難であった。特に人間環境大学看護学部は新設学部であり、開学当初は、研究倫理を審査する倫理委員会も機能しておらず、研究をタイミングよくスタートさせることができなかった。倫理委員会設置後、即座に倫理審査を申請したが、申請用紙の変更等で審査が滞ったこともあり、平成28年8月末となり、ようやく倫理委員会の承認を得ることができた。そこで、平成28年後期より、インタビュー調査を開始予定であったが、研究者の体調不良によりドクターストップがかかり、後期はインタビュー調査を進めることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
急な転職および体調不良に伴い平成27年度は研究を進展させることが困難であったため、研究終了の予定日を平成29年3月から平成29年9月へと半期遅らせる。今後は、以下のスケジュールで研究を進める。 【平成28年10月】対象者、5名に対する2回以上のインタビューを実施し終了する。 【平成28年12月】インタビュー結果を分析、考察する。 【平成29年1~3月】スーパーバイズを受けながら、論文を執筆する。Tourette Association Conferences(米国)に参加する。 【平成29年4~9月】臨床実践の現象学会にて発表(草稿の検討)、トゥレット症候群推進学会学術集会にて発表する。また、NPO法人トゥレット協会総会にて研究報告を行う。
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Causes of Carryover |
研究が予定より遅延したため、平成27年度中にインタビューを開始することができなかった。物品費、旅費、人件費はインタビューに再して用いるICレコーダー、インタビュー対象者と面接する際の旅費および謝礼に用いる予定であったため、執行することができなかった。また、インタビューデータを入力し、分析する際にインターネットに接続しない環境で作業するためにノート型パソコンを計上していたが、それについてもインタビューを開始していないため、執行することができなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
28年度よりインタビュー調査を実行するため、昨年度の予算を引きつぎ使用する予定である。 具体的には、物品費により、ノート型パソコンおよびICレコーダーを購入する。これは、インタビューの際やインタビュー後にネットに接続しない環境でインタビューデータを管理するために必要である。旅費はインタビューを5名×2回以上の10回実施するため、また、インタビュー結果に対するスーパーバイズを受けるため、さらに臨床実践の看護研究会に参加するため、また、Tourette Association Conferences(米国)に参加するために使用する。人件費・謝礼は、インタビューの際に協力者に謝礼をお渡しするのに使用する。その他の経費では、書籍等を購入する。
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