2016 Fiscal Year Research-status Report
トゥレット症候群のチック症状に対する当事者独自の対処行動の実際
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15K20790
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Research Institution | University of Human Environments |
Principal Investigator |
三浦 藍 人間環境大学, 看護学部, 講師 (10438252)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | トゥレット / CBIT / 現象学的看護研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、トゥレット症候群の当事者がチック症状をコントロールするために独自に行っている身体的・心理的な対処行動の実際を明らかにすることである。そのため、研究者は以前より活動に参加していたNPO法人トゥレット協会の協力を得て、当事者に対するインタビュー調査を実施する計画を立案した。 本研究を実施するにあたり、平成27年8月には所属機関の倫理委員会の承認を得た。しかし、平成27年4月から現在の研究機関に転職したこともあり、27年度中は、インタビューの実施のための研究時間の確保が難しい状況であった。そのため、インタビューの開始時期が遅れたことは否めない。 平成28年度4月以降は不慮の事態(研究者の実家が熊本地震に見舞われ、高齢の両親のフォローや実家の再建に時間を割かれた)のため、研究時間の確保が難しくなった。さらにその少ない研究時間をトゥレット症候群に関する認知行動療法(CBIT)本の翻訳や連携研究者となっている研究の実施にとられてしまった。 また、その間にトゥレット症候群の当事者の対処行動に関する論文が発表されたこともあり、研究の方向性を変化する必要性も生じてきており、研究開始時以降の新たな知見に即して研究計画を見直す必要性が出てきている。 そこで29年度は、研究目的を「トゥレット症候群の当事者が部分的にチック症状をコントロールできるようになった過程を明らかにする」に変更し、インタビュー調査を実施する。この調査は、自身のチック症状を少しでもコントロールしたいと考えている当事者に具体的なアドバイスを与えることができると考える。また、今後、日本でも導入されるであろうトゥレット症候群の患者を対象とした認知行動療法(CBIT)の実施の際にも有効な視差を与えることができると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
主な理由としては、研究者が研究時間を確保できなかったことが大きな理由となる。 昨年4月、研究者の実家のある熊本市が地震に見舞われ、研究者の高齢の両親も被災した。両親は2人暮らしで、近くに頼れる子どもや親戚もいないため、研究者が遠隔地よりフォローアップする状況が続いた。特に仕事が休みの週末は度々、帰熊する必要があった。本研究は、当事者へのインタビュー調査が主となるが、平日に時間を確保することは難しく、週末も実家再建に向けての活動で時間を取られた結果、首都圏等に在住の当事者の元まで調査に行く時間の確保が難しかった。現在は、震災から1年が経過し、自宅も再建でき、ようやく研究時間が確保されつつあるため、29年度は研究をスムーズに遂行できると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
29年度は、研究目的を「トゥレット症候群の当事者が部分的にチック症状をコントロールできるようになった過程を明らかにする」に変更し、インタビュー調査を実施する。特に松田(2013)の調査結果を踏まえつつ、トゥレット症候群の当事者の対処行動について、対処行動を獲得する過程に焦点を当て、どのようにして自分の身体をコントロールする術を身に着けたのかを現象学的看護研究の方法で明らかにしていく。 具体的には、NPO法人トゥレット協会と連携を取りつつ、早急にインタビューを実施する。また、インタビューの分析や考察については、他の研究よりも優先順位を上げて、実施していく予定である。 この調査は、自身のチック症状を少しでもコントロールしたいと考えている当事者に具体的なアドバイスを与えることができると考える。また、今後、日本でも導入されるであろうトゥレット症候群の患者を対象とした認知行動療法(CBIT)の実施の際にも有効な視差を与えることができると考える。
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Causes of Carryover |
28年度に研究を実施することが困難であったため。具体的には、研究者の実家が熊本地震で被災した結果、研究時間を含め、多くの時間を実家の再建やフォローに充てることとなり、学内での業務や他の研究活動も含め、研究時間の確保が難しい状況にあったことに起因する。 29年度になり、ようやく実家の再建もかない、研究時間の確保も含めて通常業務に復帰することができるようになったといえる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
インタビュー調査の結果を分析するためのインターネットにつながないPCを購入する。また、インタビュー対象者の居住地近くでインタビューを実施するために交通費やインタビュー場所の確保(貸会議室等)、対象者への謝礼などが必要となる。
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