2017 Fiscal Year Research-status Report
反すうに着目した抑うつ防止プログラムの開発-看護師が行う新しい認知行動療法-
Project/Area Number |
15K20793
|
Research Institution | Shikoku University |
Principal Investigator |
江口 実希 四国大学, 看護学部, 助教 (40631718)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 反すう / 看護師 / マインドフルネス / 認知行動療法 / 呼吸法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究の目的は、開発した「反すうに着目した認知行動療法プログラム」の実施であった。 まず、看護師、学生等22名に対し、上記プログラムのプレテストを実施した。プレテストの結果、統計学的に有意な結果が見られた。しかし、脱落者が多く、プログラムの継続を考慮した修正の必要性が示唆された。そこで、参加者のプログラムの継続を支援するため、心理教育時の動機付けとグループワークを強化した修正版の「反すうに着目した認知行動療法プログラム」(以下、修正プログラム)を作成した。 次に、看護師10名(5名ずつの2グループ)に対し、週に1回30分程度の修正プログラムを8週間実施した。修正プログラムの内容は、少人数グループによる「心理教育」と「呼吸法をメインにしたマインドフルネスの演習」である。ホームワークとして日常生活で呼吸法(5分以上)の実践を可能な限り依頼し、実施結果を記録していただいた。アウトカムは気分、自尊心、反すう、認知の偏りとし、一群の事前事後テストを用いて結果の評価を行った{実施前(T0)、実施4週間目 (T1)、終了時(T2)、終了1ヶ月後(T3)、終了3ヶ月後(T4)}。 修正プログラムを実施した結果、参加者の反すうは有意に減少し、反すうを自分でコントロールする能力も有意に上昇していた。同様に、認知の偏りが有意に減少し、肯定的セルフエスティームの向上、否定的セルフエスティームの減少が示された。気分では、不安、抑うつ、怒り、疲労、混乱の度合いが低下し、活気の度合いが上昇した。 また、「反すう」は早期(4週目)から軽減したが、気分の改善や認知の偏りの軽減などには8週間の介入が必要であることが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予算の関係で介入人数の削減を強いられたが、プログラムの修正を行い、修正プログラムの介入を予定通り終えることができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
修正プログラムの効果を量的、質的に評価し、得られた知見を学会等を通じ公開する。なお、今回は対象が「看護師」と限られており、介入人数が少ないという研究の限界がある。今後は、広く修正プログラムの有用性を検討するべく、プログラムのブラッシュアップを行い、さらに介入対象者を広げていきたいと考えている。
|
Causes of Carryover |
修正プログラムの実施にあたり、全体予算の減額から介入人数の削減を強いられたため残額が生じた。 プログラムのブラッシュアップにつなげるため、今後の介入対象者を追加募集するための準備に使いたい。
|
Research Products
(4 results)