2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K20796
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science |
Principal Investigator |
中西 三春 公益財団法人東京都医学総合研究所, 精神行動医学研究分野, 主席研究員 (40502315)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 認知症ケア / 緩和ケア / 精神看護学 / 老年看護学 / 地域看護学 |
Outline of Annual Research Achievements |
2016年4月1日の時点で東京都の介護サービス情報公表システムに登録されている居宅介護支援事業所・小規模多機能型居宅介護支援・認知症対応型共同生活介護、および精神科入院病棟の利用者を対象とした質問紙調査を実施した。居宅介護支援専門員が4人以下の居宅介護支援事業所、開設から1年未満の事業所は対象から除外した。各事業所で看護・介護職員を4名選んで質問紙票を渡し、各職員は直近で関わりをもった認知症を有する利用者4名について回答した。利用者のQOL評価にはQLDJ尺度(ADRQL尺度日本語版)を用いた。 調査票を配布した1,414事業所(607居宅介護支援事業所, 158小規模多機能型居宅介護支援, 542認知症対応型共同生活介護, 107精神科入院病棟)のうち、346事業所から職員2,239名、利用者4,143名分の記入済み調査票の返送があった。データ解析の結果、利用者の年齢の高さ、女性であること、ADL障害や認知機能障害が低いこと、および抗精神病薬を使用していないことがQLDJ得点の高さと関連していた。 また質問紙調査において、事業所の認知症ケアに関する体制や外部支援の有無、および利用者について回答する職員自身の認知症ケアに対する認識をあわせて調査した。認知症ケアに対する認識の評価にはqPAD尺度日本語版を用いた。 qPAD尺度で測定した認知症緩和ケアの知識と態度得点ともに、認知症対応型共同生活介護の職員で居宅介護支援事業所より高かった。また職員のqPAD尺度の得点で利用者を三群に分け、QLDJ尺度の得点を比較したところ、知識でも態度でも得点の高い群では中間の群や低い群と比べて、利用者のQLDJ尺度得点は高かった。 以上の結果をもとに認知症ケアの実践モデルを整理した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では平成29年度に予定していた質問紙調査を一年前倒しで実施した。調査結果の解析が円滑に進行したことで、在宅や施設における認知症の人のQOLの実態把握およびQOLと関連するケア提供者側の要因を明らかにすることができた。それにより、平成29年度の目的としていた認知症ケアの実践モデルの整理に到達した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、これまでの調査結果をふまえて整理した認知症ケアの実践モデルに基づき、看護・介護職員を対象とした認知症ケア研修プログラム(初案)を開発する。開発したプログラムを認知症看護・介護の実践現場に導入する。 平成30年度は、プログラムを導入した現場におけるケア提供者および利用者の効果を評価する。評価検証を経てプログラムの課題点を洗い出し、必修正を加えた改訂版プログラムを確立する。
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Causes of Carryover |
質問紙調査の回収率が計画時に設定した目標に到達しなかったため、データ入力に係る費用が当初の算定を下回った。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は質問紙調査の結果をふまえ、整理した認知症ケアの実践モデルに基づき、認知症ケア研修プログラム(初案)を開発する。開発したプログラムを認知症看護・介護の実践現場に導入するための、現地訪問調査の実施に使用する計画である。
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