2015 Fiscal Year Research-status Report
フィリピンにおける自宅分娩者支援のための巡回型産褥期訪問システムの有用性の検証
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15K20811
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Research Institution | Kobe City College of Nursing |
Principal Investigator |
山下 正 神戸市看護大学, 看護学部, 助教 (90613092)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | フィリピン / 自宅分娩 / 保健サービス / 産後症状 / 施設分娩 / 母子保健 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年2月にフィリピン、ムンティンルパ市にて現地調査を行った。主な調査目的は、自宅分娩者の保健サービスの利用状況の把握と、その利用が産後の健康にどのような影響を与えるか調査することであった。 対象は63名の褥婦で、平均年齢は26.1 ± 7.1歳であった。自宅分娩者と施設分娩者を比較したところ、出産介助者、居住地、月収、母子手帳の項目で有意な差がみられた(P<0.01)。また、ロジスティクス回帰分析を行った結果、自宅分娩者は施設分娩者に比して、4回以上の妊婦健診の受診割合が0.04倍、妊娠中の情報利用(体調異常、授乳トラブル)の割合が0.17倍であった。また、産後のサービスでは、特に情報利用に関して、体調異常についての情報が0.55倍、授乳トラブルについての情報が0.29倍、家族計画についての情報が0.44倍であった。これらのことから自宅分娩者は保健サービスを十分に活用できていない状況が明らかになった。また、産後の症状については、自宅分娩者は施設分娩者に比して、発熱が3.53倍、乳房痛が4.10倍、落ち込みが2.0倍などであり、産後の症状が多い現状がみられた。 これらのことから、自宅分娩者は妊娠中の自己管理に役立てる健診や情報の取得が不十分な状況にあり、そのことで産後の感染症や産後うつの症状が増加している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年2月に現地調査を行うことができたこと、その分析結果の一部で学会で発表できた。平成27年度内に論文投稿の予定であったが、平成28年度の前半に投稿したい。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、昨年度に引き続きフィリピン、ムンティンルパ市で短期間の現地調査を行う予定である。コミュニティヘルスワーカーの家庭訪問の質を向上させるために、いくつかの方略を検討、実施予定である。 1.アセスメントシートの導入:現地、医師・看護師・助産師・コミュニティヘルスワーカーと会議を開催し、アセスメントシートの導入について検討していく。 2.コミュニティヘルスワーカーの育成:これまでの研究成果を踏まえ、コミュニティヘルスワーカーが褥婦の体調異常を把握できる母子保健システムが必要と考えられる。コミュニティヘルスワーカーを対象に教育プログラムを現地スタッフと協働で実施する。
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Causes of Carryover |
平成27年度に学術誌に投稿予定であった論文が投稿できていない。そのため英語校正費、論文受理費、印刷費が昨年度に計上できなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
1.フィリピン・ムンティンルパ市での現地調査(コミュニティヘルスワーカーの育成)を行う。その際、タガログ語への翻訳費、通訳費、調査参加者への謝礼が発生する予定である。 2.平成27年度の結果を学会(国内学会1件、国際学会1件)、学術誌(国際誌2件)で発表する予定である。それに伴う、参加費、英語校正費、論文受理費、印刷費が発生する予定である。
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Research Products
(6 results)