2015 Fiscal Year Research-status Report
第一次世界大戦の戦前から戦後期にかけての『自衛―独立ユダヤ週刊新聞』の活動状況
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15K20823
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
中村 寿 北海道大学, 文学研究科, 専門研究員 (40733308)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ドイツ文学 / 東欧近現代史 / ユダヤ教 / ナショナリズム / 外国人研究者招聘 |
Outline of Annual Research Achievements |
代表者の研究は、帝政時代から戦間期にかけてのプラハで出版されていた『自衛―独立ユダヤ週刊新聞』 (以下『自衛』) (1907―1938) の包括的な活動記述を完成させることである。当該助成事業の目標としては、『自衛』の活動期間のうち、第一次世界大戦前後の活動記述の完成を考えている。初年度は、当助成に必要な『自衛』の収集作業を実施し、その成果の一部を発表した。 国内の研究機関もマイクロフィルム媒体の『自衛』を所有している。しかし、第一次世界大戦前期 (1911-15年) の『自衛』はフィルム未収録のため、海外図書館にて、史料収集を実施する必要があった。2015年9月、研究代表者はオーストリア国立図書館 (在ウィーン) にて、史料収集をおこなった。この機会を通じて、1914、15年分の『自衛』については、ほぼ網羅的に収集することができた。 関連事業としては、2015年8月、「国際中・東欧研究協議会第9回世界大会 (ICCEES 9th World Congress) 」にて、パネルを企画した (パネル代表者) 。パネル題目は「チェコスロヴァキア新聞に見えるマイノリティ問題 (Minority Nations’ Issues Reflecting on Czechoslovak Newspapers) 」である。パネルの討論者として、代表者はアメリカ合衆国ミシガン大学から、世紀末プラハのユダヤ系ドイツ文学を専門とする研究者を招聘した。そのほか、北海道大学文学研究科、同スラブ・ユーラシア研究センターにて、同ゲストによる講演会を企画した。文学研究科での講演『故郷と遺産―マックス・ブロートとフランツ・カフカ (Heimat und Erbe: Max Brod und Franz Kafka) 』では、研究代表者が独日通訳を担当した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ウィーンでの史料収集は順調であった。当該史料を網羅的に収集することができた。そのほか、国際会議のための国外ゲスト招聘についても、問題なく実施できた。 年度末には、札幌の研究会『ブレーメン館』にて関連成果の一部を発表、その雑誌に新聞読み切り小説の翻訳・解説を投稿した。 残念なのは、査読雑誌への投稿作業にまでは着手できなかったことである。来年度前期には、査読雑誌への投稿作業に集中したい。
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Strategy for Future Research Activity |
2016年度上半期は査読雑誌への投稿作業に集中する。下半期には、第一次世界大戦におけるドイツ系ユダヤ人によるハプスブルク帝国への戦争協力という観点から、『自衛』の読解作業を継続する。二年次以降は史料の読解と分析作業が研究活動の中心となる。
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