2015 Fiscal Year Research-status Report
ソースコミュニティとの協働による「アイヌ木製盆」の文化資源化に関する研究
Project/Area Number |
15K20826
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山崎 幸治 北海道大学, アイヌ・先住民研究センター, 准教授 (10451395)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 物質文化 / 文化資源 / アイヌ / 文化人類学 / 博物館 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究の初年度となる平成27年度は、本研究の目的等について平取町とりわけ二風谷在住の工芸家の人々への説明と今後の研究を円滑に進めるための体制を整える作業をおこなうとともに、アイヌ木製盆の資料熟覧をおこなった。ソースコミュニティへの説明を、二風谷民芸組合臨時総会(11月5日)、平取町で開催しているシシリムカ文化大学講座(11月24日)等において実施した。また、平取町立二風谷アイヌ文化博物館など関連協力機関への説明も実施し、今後の研究の方向性について検討した。 あわせて、アイヌ木製盆の熟覧調査を実施した。調査では、アイヌ木製盆を前に、それぞれの木製盆の作風や特徴等について工芸作家の方にインタビューをおこない、その様子をビデオカメラによって記録した。熟覧調査は、アイヌ木製盆が多数展示された公益社団法人アイヌ文化振興・研究推進機構主催の工芸品展『木と生きる―アイヌのくらしと木の造形』(北海道立旭川美術館)、国立民族学博物館、平取町内のアイヌ木製盆を所蔵する個人宅等において実施した。今年度の調査研究により、アイヌ木製盆のどの部分に着目すべきかといった今後の調査研究における指標を複数把握することができた。並行して、研究代表者による文献調査、資料調査も実施した。 また、収集したデータを今後活用するためのデータベースの構築作業をおこなった。データベース・ソフトは、ファイルメーカーを使用することとし、収集した画像データ等を入力しながら試験的に動作をチェックした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3カ年計画の初年度ということもあり、本研究課題の目的等について地域コミュニティの人々へ説明、問題意識を共有するための作業に重点を置くこととなった。これは本研究課題が、ソースコミュニティとの協働を目指していることから必要不可欠な作業であった。以上の過程を経ることにより、二風谷民芸組合などの工芸作家の人々も本研究のテーマに強い関心を持っていただき、本調査研究に積極的に協力いただくことができた。初年度である現在は調査を通じてデータを収集している段階であるが、調査研究は、ほぼ当初の予定どおり順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
ほぼ研究計画通りに実施する予定であるが、熟覧調査を実施する博物館については、工芸作家の人々と協議しながら選定し実施する予定である。ワークショップについても、まず工芸作家を中心とした少人数で実施し、その上で、最も成果が上がる実施方法や規模を検討していくことにする。
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