2015 Fiscal Year Research-status Report
幼少期環境が生むストレス脆弱性における内側前頭前野の大脳半球間抑制の機能解明
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15K20846
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
二階堂 義和 弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50613478)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 幼少期ストレス / ストレス脆弱性 / 内側前頭前野 / 大脳半球間抑制 |
Outline of Annual Research Achievements |
幼少期の母子分離やネグレクト等のストレスは個体のストレス応答性や情動行動に長期的に影響を及ぼし、成熟後の不安障害発症等の原因となる。これまでにストレス応答性や情動行動の制御について左右内側前頭前野の活動バランスの関与が示唆されてきたが、幼少期ストレスを原因とするストレス脆弱性形成の神経基盤の詳細は分かっていない。本研究は左右内側前頭前野間の活動調節を担うと考えられる大脳半球間抑制に注目し、幼少期ストレスを原因とするストレス脆弱性形成機序の解明を目指す。
本年度は、母子分離ストレスによりストレス脆弱性を示すマウスの作製とその行動評価を行った。生後1日より14日まで母子分離ストレス(3時間/日)を負荷した母子分離群と母子分離を行わないコントロール群を設定した。成熟後(生後60日)、不安関連行動(オープンフィールド試験・高架式十字迷路試験)と記憶学習能力(Y字迷路)を検証した。行動試験終了1日後、血漿コルチコステロン濃度測定のために採血及び組織学的解析のために脳組織採取を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度は当初の計画通りに母子分離ストレス負荷を用い、不安行動の増強を示すストレス脆弱マウス群を得られた。電気生理学的検討については組織学的検討が先行したためにやや遅れている。神経細胞特異的にチャネルロドプシンやハロロドプシンを発現させるためのアデノ随伴ウイルスベクターの導入については発注や培養技術の確立などに時間がかかったが、目標としていた予備検討は開始できた。概ね当初計画に沿って遂行した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、平成27年度に引き続き母子分離ストレスによるストレス脆弱性マウスの作製を行い、電気生理学的検討並びに組織学的検討から左右内側前頭前野の半球間抑制に対する幼少期ストレスの影響を明らかにする。また、左右内側前頭前野神経活動の記録電極と光刺激用ファイバーカニューラを搭載したマイクロドライブの作製も順調に進んでいる。脳内投与に十分な力価を持つアデノ随伴ウイルスベクターが得られ次第、光遺伝学的制御を用いて左右内側前頭前野間神経回路の活動バランスとストレス脆弱性の関係性解明を目指す。
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Causes of Carryover |
交付申請時に予定していた光刺激装置の仕様を見直し、同様の性能かつ安価な装置を購入することが出来た。また、旅費・学会参加費の支出を予定していたが、他の資金にて支出できることになった。これらを受け試薬・消耗品類の拡充を図ったところ、少額の残額(8,200円)が生じた。この残額は次年度の物品費と合わせて使用する方が有効であると判断し、繰り越すこととした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度は平成27年度に繰越した研究費を合わせて、細胞外電極素材並びに光刺激用ファイバー、免疫組織化学用試薬類を購入する。その他、マウスやアデノ随伴ウイルスベクターの使用に必要な試薬・消耗品類を購入する予定である。
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Research Products
(2 results)