2016 Fiscal Year Research-status Report
幼少期環境が生むストレス脆弱性における内側前頭前野の大脳半球間抑制の機能解明
Project/Area Number |
15K20846
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
二階堂 義和 弘前大学, 医学研究科, 助教 (50613478)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 幼少期ストレス / ストレス脆弱性 / 内側前頭前野 / 大脳半球間抑制 |
Outline of Annual Research Achievements |
幼少期の母子分離やネグレクト等のストレスは個体のストレス応答性や情動行動に長期的に影響を及ぼし、成熟後における不安障害等の発症原因となる。これまでにストレス応答や情動行動の制御について左右内側前頭前野の活動バランスの関与が示唆されてきたが、幼少期ストレスを原因とするストレス脆弱性の形成に寄与する神経基盤の詳細については分かっていない。本研究は左右内側前頭前野間の活動調節を担うと考えられる大脳半球間抑制に着目し、幼少期ストレスを原因とするストレス脆弱性形成メカニズムの解明を目指す。
本年度は昨年度に引き続き、母子分離ストレスによってストレス脆弱性を示すマウスの作製とその行動評価を行った。その結果、母子分離ストレスが成熟後の不安関連行動に負の影響を及ぼすことが明らかになった。さらに、本年度はオプトジェネティクスを採用し、成熟後のマウスの不安関連行動を発現または抑制できるか検証した。興奮性光感受性タンパク質(チャネルロドプシン)をマウス内側前頭前野に導入し、光ファイバーカニューレを介して青色光で光刺激したところ、内側前頭前野の興奮性神経細胞の活動と不安関連行動を制御できた。内側前頭前野神経細胞群が不安関連行動の制御に重要な役割を果たしていることが示唆される。今後、内側前頭前野神経細胞群が形成する左右内側前頭前野間神経回路の機能解析を進め、幼少期ストレスを原因とするストレス脆弱性に関わる大脳半球間抑制の機能解明を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成28年度は、当初の計画通りオプトジェネティクスに必要な手法を確立したが、所属機関の動物実験施設が長期的に使用出来なくなるというトラブルが生じたため、実際に実験動物に対してオプトジェネティクスを用いて行う電気生理学的検討に遅延が生じた。しかし、神経活動マーカーを用いて組織学的解析を行うことが出来たため、電気生理学的検討の遅れ以外は概ね計画通りに遂行できた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は平成27年度、28年度に引き続き母子分離ストレスによるストレス脆弱性マウスの作製を行い、オプトジェネティクスと電気生理学的解析を用いて左右内側前頭前野間神経回路の活動バランスとストレス脆弱性の関係性解明を目指す。
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Research Products
(2 results)