2016 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of vascular stabilization mechanism by anti-angiogenic factor vasohibin-1
Project/Area Number |
15K20874
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小林 美穂 東北大学, 加齢医学研究所, 助教 (50630539)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 腫瘍血管 / 血管の安定化 / VE-カドヘリン / Tie2 / 微小管 |
Outline of Annual Research Achievements |
腫瘍に誘導された新生血管では内皮細胞同士の接着が不安定であることが知られている。この腫瘍血管の不安定化は、薬剤の不到達や癌細胞の浸潤及び血管新生の容易化を誘導することで癌治療に悪影響を及ぼすことが指摘されている。本研究の代表者である小林は、バソヒビン-1(VASH1)が微小管の翻訳後修飾の一つである脱チロシン(ΔY)化増加を通して受容体のエンドサイトーシス阻害を誘導し、下流のシグナル伝達及び血管新生促進作用が抑えられるという、新規血管新生抑制メカニズムをこれまでに明らかにしている。一方、VASH1が腫瘍血管の安定化を誘導することが示唆されているが、その詳細なメカニズムは不明であった。従って本研究では、VASH1によるΔY-チューブリン増加を介した膜分子の細胞内取込み抑制機構に着目することで、VASH1と血管安定化に寄与するアンジオポエチン(Ang)/Tieシグナル伝達及び細胞間接着分子との関係を調査し、VASH1による血管安定化機構を明らかにすることを目的として解析を実施した。VASH1はΔY-チューブリンの増加依存的にVEGF/Ang-2誘導的なVE-カドヘリン/Tie2のエンドサイトーシスを抑制した。加えてVASH1は、Ang-2誘導的なリン酸化Tie2の上昇には影響しなかったが、その下流であるリン酸化Aktの上昇をΔY-チューブリンの増加依存的に抑制した。一方、VASH1はAng-1・2及びTie1・2の発現を有意に変化させなかった。これらの結果から、VASH1は血管新生抑制メカニズムと同様に、ΔY-チューブリンの増加を通してVE-カドヘリン及びTie2のエンドサイトーシスを阻害し、血管の安定化を誘導すると考えられた。従って本研究から、VASH1を標的とした血管新生抑制と血管安定化誘導の両方を同時に発揮できる治療法の開発を目指すための基礎を築くことが出来た。
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