2017 Fiscal Year Research-status Report
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15K20893
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
鈴木 華子 立命館大学, 総合心理学部, 准教授 (00634627)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | カウンセリング心理学 / 多文化間カウンセリング / 留学生 / 予防的心理援助 / ウェルビーイング / マイノリティ / 質的調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、留学生が直面する障壁やニーズを多角的な視点から分析し、また、留学生を多く受け入れている諸外国の留学生支援を参考にすることで、日本における留学生を対象とした包括的な予防的心理援助モデルを構築することである。国境間のヒトの移動が増加している近年、世界的にも大学における留学生が増加し続けており、留学生が必要に応じて早期に相談資源や心理援助資源を利用でき、精神的・身体的に健康を保ちながら修学できるキャンパス環境の整備促進に寄与することを目標としている。 本年度の実績は以下の通りである。1. 世界でも有数の留学生受入れ国であるフランスのボルドー大学およびボルドーモンテーニュ大学の留学生センターを訪問し、留学生支援の内容について調査を行った。留学生支援に関しては、到着時オリエンテーションや語学クラスの提供、ビザに関するサポート等となっており、心理的支援よりは実質的支援が多く行われている印象であった。2. アメリカ心理学会年次大会において、日中韓米における留学生支援の取り組みについてのシンポジウムにて成果の発表を行った。それぞれの国における類似点や相違点の議論を行うことができ、留学生を取り巻くキャンパス環境の文化的要素の客観的な分析に繋がった。3. イタリア・パドヴァ大学で開催された国際シンポジウムにおいて、外国人のキャリアデベロップメントに関する発表を行った。4. 留学生を対象としたインタビューを開始した。インタビュー内容は、留学生が直面した困難やそれらを乗り越えた方法、そして、ソーシャルサポートやアイデンティティに関してである。5. 昨年に引き続き、留学生を対象としたキャリア・デベロップメント・プログラムを試行し、キャリア発達についての心理教育を行っている。参加学生からのフィードバックを参考にしながら、キャリア支援の側面からの心理的予防支援の可能性を探っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者の異動に伴い倫理審査を再度行わなければならなかったため、質的データの収集開始が予定より遅れたが、多くの協力者のおかげでインタビューを実施できている。現時点において、16名の協力者がおり、次年度も引き続きデータを収集することで、より多くの留学生のニーズを拾い上げ、心理的予防支援の開発につなげて行く予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
面接調査と並行しながら、文字起こしやデータの解析を行い、成果をまとめていく予定である。次年度は、本課題の最終年度であることから、積極的に成果の発信を行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
当初予定していたインタビュー調査の開始が遅れたため、被験者謝金等に使用する予定であった経費に未使用額が生じた。これらに関しては、平成30年度にインタビュー調査が計画されており、その際の出張旅費および被験者謝金に使用する予定である。
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