J波症候群における次世代シークエンサーを用いた包括的遺伝子解析

2015 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 15K20894
• Research Institution: University of Tsukuba
• Principal Investigator: 黒木 健志 筑波大学, 附属病院, 病院講師 (50726940)
• Project Period (FY): 2015-04-01 – 2017-03-31
• Keywords: J波症候群 / 心室細動 / 突然死 / 遺伝子

Outline of Annual Research Achievements

本研究は次世代シークエンシンサーを用いてJ波症候群および特発性心室細動症例の遺伝子異常の実態を明らかにし、診断精度の向上を目指すとともに、蓄積された遺伝情報をもとに心室細動による突然死の予防・治療に応用することが目的である。平成27年度はこれまでに登録されたJ波症候群および特発性心室細動34例について、臨床情報を収集するとともに、SCN5A遺伝子など既知の原因遺伝子につき、ターゲットシークエンスを行った。そのうちBrugada症候群の2例でSCN5A遺伝子に有意と思われる変異が認められた。またJ波症候群および特発性心室細動の8例について次世代シークエンサーを用いたパネル・シークエンスを施行中である。平成28年年度中に計32例施行し、J波症候群・心室細動の原因遺伝子を網羅的に解析する。さらに、遺伝子解析情報と臨床情報とを統合し、遺伝子変異と心イベント発症との関連を解析する予定である。

Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

J波症候群（Brugada症候群、早期再分極症候群）、および心室細動の症例で、遺伝子解析に関する同意が得られた34症例について、サンガー法によりSCN5Aなどのターゲットシークエンスを行った。そのうちBrugada症候群21例中、2例でSCN5A遺伝子変異が見出された。さらに8症例について、Ion ProtonおよびCardiovascular Panel (Thermo Fisher社)を用いたパネル・シークエンスを施行し、現在解析中である。Cardiovascular Panelの納入が遅れたため、研究の進捗がやや遅れている。

Strategy for Future Research Activity

すでに登録された症例、または今後登録される症例について、今年度Cardiovascular Panelによる次世代シークエンスを計32症例で施行する予定である。新たな遺伝子変異が明らかになった場合、変異遺伝子を導入した心筋細胞やマウス生体を用いて、in vivoにおける変異遺伝子の機能的影響を評価する。家族歴が濃厚にも関わらずパネル・シークエンスで原因遺伝子が不明である場合、エクソーム解析を検討する。