2015 Fiscal Year Research-status Report
TGFβの新しい役割に着目した、大動脈瘤破裂を誘導するシグナルの解析
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15K20898
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
山城 義人 筑波大学, 生命領域学際研究センター, 助教 (70751923)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 大動脈瘤破裂 / TGF-β / 血管平滑筋細胞 / 細胞外マトリックス |
Outline of Annual Research Achievements |
大動脈瘤は血管壁が異常に拡張する疾患であるが、その発生機序の詳細は未だ不明である。また、大動脈瘤破裂時の死亡率は80%以上と非常に高く、破裂を未然に防ぐ内科的治療法も未だ確立されていない。したがって、大動脈瘤破裂の分子メカニズムを解明し、疾患の予防、治療法の開発へと発展させることが急務である。現在、TGF-βシグナルの抑制が瘤破裂を引き起こす知見を得ているため、本研究は、TGF-βの血管壁内での役割に着目し、瘤破裂のメカニズム解明と治療法の開発を目指す。 平成27年度は、大動脈瘤破裂を誘導するTGF-β中和抗体の至適条件を検討し、投薬後の血管壁の変化を組織免疫染色法、ウェスタンブロッティング法を用いて解析した。当初、生後7日の上行動脈瘤モデルマウスに対してTGF-β中和抗体の濃度を10 mg/kg BWと設定したが、投薬開始後30日以内に急激な破裂誘導を引き起こしたため、より低濃度での投与を検討し、至適条件を得る事が出来た。加えて、投与量1mg/kg BWでは瘤の拡大や破裂に影響しない事やTGF-βシグナルの抑制には十分ではない事が明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大動脈瘤破裂を誘導するためのTGF-βシグナル中和抗体の至適条件(投与量、投与期間)を検討し、組織免疫染色方やウェスタンブロッティング法にて、抗体の有効性を評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度に検討した瘤破裂を誘導する条件に基づいて、本年度は瘤破裂時の血管壁の形態変化を組織標本:HE染色、Hart’s染色、Masson-Trichrome染色で精査する。また、瘤が破裂する直前の血管壁の内径・外周、壁の厚さを横断面にて計測する。さらに、TGF-βシグナルの遮断が平滑筋細胞の表現型、膠原線維の発現・局在にどのような影響を与えるのかを精査し、大動脈瘤破裂を誘導するメカニズムを明らかにする。
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Causes of Carryover |
血管壁内で圧負荷に応答する因子Thrombspondin-1 (TSP1)とEarly growth response 1 (Egr1)が、大動脈瘤破裂にも関与している可能性を検討するために、TSP1とEgr1のノックアウト(KO)マウスをジャクソン研究所から入手する計画を立てた。TSP1KOマウスはすでに搬入済みである。Egr1マウスの発注は平成27年度内に行ったが、納品が未だのため、次年度に支払いを行う予定である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記の理由で、マウスを購入した。4月末にマウスが搬入され支払いを行う予定でいるため、次年度繰越し金はマウス購入に充てる予定でいる。
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Research Products
(14 results)