2015 Fiscal Year Annual Research Report
大腸癌セツキシマブ耐性克服の治療ツールとしてのmiR-7の意義
Project/Area Number |
15K20902
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
須藤 利永 群馬大学, 医学部附属病院, 医員 (50738846)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 大腸癌 / EGFR / microRNA / miR-7 / KRAS |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的はセツキシマブ抵抗性克服の治療ツールとなることが期待されているmiR-7に意義をin vivo実験で明らかにすることである。大腸癌の再発症例に対しては化学療法だけでなく分子標的治療、とくに抗EGFR抗体を併用することにより生存期間の延長が期待できる。しかし化学療法、分子標的治療薬に抵抗性を示す症例の予後は依然として厳しく薬剤抵抗性メカニズムの解明、克服が切望されている。我々はEGFRを標的とする際にmicroRNA(miR)に注目した。miRは18~25 塩基長の一本鎖RNA で、messenger RNAの3’UTRに結合することでタンパク翻訳を抑制することで遺伝子発現を負に調節している。同様に遺伝子発現を抑制するsmall RNAとしてsiRNAがよく知られているが、RNA創薬の観点ではmiRはもともと体内にあり投与しても過剰な反応は起こしにくいこと、また1つのmiRが多数のタンパク発現を抑制する機能を有しており耐性化の起こりずらいことが期待される。 本研究ではEGFR、RAF1を抑制ターゲットとすることが以前報告されているmiR-7の大腸癌における機能に注目している。これまでの検討で大腸癌部miR-7低発現症例は有意に予後不良であること、miR-7投与されたKRAS変異大腸癌細胞株はEGFR抗体であるセツキシマブへの感受性が亢進することを明らかにしてきた。また、そのメカニズムはEGFRだけの抑制ではなくRAF1抑制、Aktシグナル抑制が誘導されたことが原因と考えられた。これまでのデータからmiR-7そのものがEGFR抗体への耐性を克服する治療ツールとなることが期待されるが、これまでの検討はin vitroでの検討のみでマウス実験での薬効評価、セツキシマブ感受性に与える影響に関しては検討が不十分であり、今後の研究課題と考えている。
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