2017 Fiscal Year Annual Research Report
Constructing A Self-Information Control Theory Optimized To The Information Age
Project/Area Number |
15K20914
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
壁谷 彰慶 千葉大学, 大学院人文科学研究院, 特任研究員 (20571590)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | アイデンティティ / 社会的養護 / ライフストーリーワーク / 個人情報 / プライバシー / 子どもの権利 / 情報倫理 / ケア |
Outline of Annual Research Achievements |
当初の予定として、本年度は小課題(3)(匿名発信によるアイデンティティ形成の社会的影響と適切性条件の明確化)に従事するはずであったが、前年度までの研究にて、ICT社会での匿名発信の問題に比べ、社会的養護でのライフストーリーワーク(LSW)の実践と生育情報管理の問題への対応が喫緊かつ社会的意義をもつと考え、小課題(2)(対他的な自己情報コントロールとしての「同化」の解明)を継続し、特にLSWの初期段階の適切性の考察に従事することになった。12月の研究会発表(同内容はプロシーディングとして論文化)では、LSWを共同行為として理解する見方について再考し、同意の仕組みの細部の明示化や、同意の強制を排除する要件の解明など、今後の課題を確認した。また、翌年2月の論文では、アイデンティティの制御を「自由」の観点から考察する意図のもと、「経験」に訴えて自由意志の実在性を正当化する議論を批判的に論じる論文の解釈作業を試みた。翌年3月には、本研究課題の成果報告書を刊行し関係者に配布した。また、外部調査として、10月21、22日開催の「第6回LSW実践・研究交流会」では、現場職員や周辺領域の研究者と社会的養護の現状について意見交換を行った。 本研究は、全期間を通じて、当初の予定通り、「自己情報コントロール」に関するICT社会と社会的養護との二領域の対比的考察を基本的方針として進められたが、結果的に、社会的養護の生育情報の諸問題を中心的に考察することになった。今回の諸考察により、今後、社会的養護の生育情報管理に関する制度化やLSWの普及を進めるうえで配慮されるべき諸論点が示されたと考える一方、ICTにおける情報発信の問題についても、以上の考察をフィードバックさせることで、適切な進展が望めると考える。以上の点で、本考察は、今後、社会的養護とICT社会の双方の諸問題に対して実質的意義をもつと考える。
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Research Products
(4 results)