2015 Fiscal Year Research-status Report
Web上に分散する膨大な学習指導案データの授業活用を促進する横断検索システム
Project/Area Number |
15K20916
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
小野 永貴 千葉大学, アカデミック・リンク・センター, 特任助教 (10592868)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 学習指導案 / 横断検索 / データベース / 授業向上 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、教育委員会や教育センター毎に個別にデータベース化されている「学習指導案」について、横断検索を可能とするシステムを構築し、授業向上や教育研究への再利用を促進することを目的としている。学習指導案は形式が標準化されておらず、地域や執筆した教員によって書式や項目が大きく異なることが予測されるため、その実態や傾向を明らかにし、収集した学習指導案ファイルから内容を自動抽出する技術の確立も予定する。これらを通し、学習指導案の内容抽出や横断検索が可能となることで、教員の授業向上や学校間・校種間連携等へどのように役立てられるのか、評価および考察を行うことを目指す。平成27年度の実施内容は以下の通りである。 (1)横断検索エンジンの収集対象となる学習指導案データベースの列挙:地方教育行政法第30条に基づき設置されている都道府県教育センター47機関のウェブサイトを対象に、学習指導案データベースの構築状況の調査を行った。 (2)公開状況や提供形式の調査:データベースの存在が確認された都道府県において、本文の一般公開状況や提供ファイル形式の調査を行ったところ、過半数の都道府県にてログインを要さず本文ファイルへアクセス可能な状態で公開されていることが明らかになった。一方で、ファイル形式はpdf形式が中心であるものの、アプリケーション固有の多様な文書形式も混在しており、文書構造を機械可読でない印刷体形式が多数を占めることが確認された。また、各データベースが提供しているメタデータ形式も差異が大きく、科目や単元といった教育上の基本属性を直接得られないシステムも複数存在した。 (3)試験的なクローラの開発とファイル収集:一部の都道府県を対象に、学習指導案ファイルを自動収集するクローラを開発し、試験的に収集を行った。収集されたファイルから全文を抽出し、内容認識の基礎となる頻出見出し語の分析を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は、平成27年度中に学習指導案の構成要素の分析と横断検索のために必要な内容抽出技術の確立を行い、学習指導案ファイルの自動収集と横断検索システムの構築まで実施することを予定していたが、一部が未完了である。学習指導案の試験的な自動収集を行った結果、一部の地域のデータベースにおいて本文テキストの文字コードが不正なPDFファイルが多数含まれるなど、ファイルの不整合を吸収する処理の開発に想定以上の時間を要したことが一因である。一方で、研究実施計画時点において、開発に想定外の時間を要した場合は研究の順番を変更し、横断検索システムの構築を平成28年度へ繰り越すことを想定していたため、その計画通りに次年度に進捗を急ぐ予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
前述のとおり、横断検索システムの構築を平成28年度へ繰り越したため、早急に開発を完了する予定である。そのうえで、現場教員や教育実習学生を対象としたシステムの利用実験を行い、授業向上環境として有用な検索項目やメタデータを明らかにし、インタフェースの改善へと展開させる予定である。また、収集された学習指導案ファイルを統計的に分析し、全国で公開されている学習指導案の教科・科目や単元の傾向を明らかにすることも目指す。
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Causes of Carryover |
試験的に収集した学習指導案データのサイズが予定より小さかったこと、および横断検索エンジンの開発を平成28年度に実施することとしたため、開発用サーバコンピュータおよびストレージを購入しなかったことによる。また、予定ではアルバイトに依頼する予定であった作業を、平成27年度は研究代表者が自ら行うことができたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度は学習指導案データの収集対象を拡大し、横断検索システムの構築を実施するため、それに必要なストレージおよびサーバコンピュータの購入を予定する。また、システムの評価実験を行うため、実験参加者への謝金およびシステムを用いた検索行動の記録用映像機器への支出を予定する。
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