2015 Fiscal Year Research-status Report
確率的離散選択モデルにおける政策評価の理論的精緻化
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15K20924
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| Research Institution | The University of Tokyo |
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Principal Investigator |
藤嶋 翔太 東京大学, 空間情報科学研究センター, 講師 (50706835)
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| Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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| Keywords | 離散選択モデル / 空間相互作用モデル / 進化ゲーム理論 / 都市・地域経済学 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は，離散選択モデルを用いた政策評価に関するものであるが，当該年度においてはまず，離散選択モデルの均衡の性質を調べる研究を行った．
具体的には，都市・地域経済学の分野で盛んに研究が行われている空間相互作用モデルを考えた．空間相互作用モデルでは，経済主体はある立地点を選ぶが，その立地点から得られる効用は，他の経済主体の立地分布に依存するという構造になっている．したがって，意思決定は戦略的なものになり，均衡概念としてはナッシュ均衡を考える．
これまでの空間相互作用モデルでは，選べる立地点の集合は連続なものを考えることが多い．この場合，単一経済主体（例えば，消費者のみ）のモデルを考えれば，一意な均衡が得られることが知られている．しかし，実際にデータを用いながら空間相互作用モデルに基づいた政策評価を行う場合は，立地点は有限個であるケースを考える必要がある．そこで本研究では，均衡が一意な連続空間モデルにおいて，立地点を有限個（すなわち，離散選択）にした場合の，空間相互作用モデルの均衡の性質を調べた．
これまでに得られた主な結果は次の２点である．まず１点目として，このモデルの均衡は経済主体が集まって立地することのメリット（集積の経済）とデメリット（混雑）のトレード・オフによって決まるが，そのトレード・オフを表すパラメーターの値によっては，立地点の数をいくつに定めても均衡が複数存在することが分かった．一方で，２点目として，立地点の数を無限大にすると，均衡が複数あったとしても，全ての均衡は連続空間モデルの一意な均衡に収束することが分かった．したがって，単一経済主体で連続空間の空間相互作用モデルは，離散空間モデルの極限として考えられることが分かった．
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度の研究実績については，国際学術雑誌から改訂要求を受けており，適切に改訂作業を行うことで，研究期間内に出版したいと考えている．一方で，本研究課題の最終目標である，政策と関連した規範的な研究については未だ構想段階であるため，「当初の計画以上に進展している」とまでは言えないと判断した．
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| Strategy for Future Research Activity |
当該年度の研究実績については，国際学術雑誌から改訂要求を受けているので，出版に向けて改訂作業を進めていく．一方で，これまで行った研究は，空間相互作用モデルの均衡の性質を調べるという記述的なものだったので，今後は政策評価の議論につながるような規範的な研究についても進めていく．この点については未だ構想段階であるが，同じ分野の専門家２名と研究アイディアについて議論する機会があり，その際にもらったコメントをもとに今後の方向性を定めることができたので，鋭意進めていきたいと考えている．
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| Causes of Carryover |
当該年度の研究実績については，早い段階で国際学術雑誌に投稿し，改訂要求を受けたため，出版に向けた改訂が主たる作業となった．そのため，研究実績を発表するための旅費の支出が，当初の計画よりも少なくなった．
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| Expenditure Plan for Carryover Budget |
当該年度の研究実績については，国際学術雑誌から改訂要求を受けているが，改訂稿を投稿する際に英文校正を依頼する場合は，そのための費用を支出する予定である．また，改訂作業を進めていく上で研究協力者とのミーティングが必要になった場合は，そのための旅費を支出する予定である．
次年度より着手する研究については，結果が得られ次第，学会やセミナーで発表していく予定のため，その際はそのための旅費を支出する予定である．また，研究を進めていく上で必要となる図書（主に，政策評価，離散選択モデル，ゲーム理論などに関連するもの）についても，適宜，購入する予定である．
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