2018 Fiscal Year Annual Research Report
Elaborating policy evaluation in stochastic discrete-choice models
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15K20924
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
藤嶋 翔太 東京理科大学, 経営学部ビジネスエコノミクス学科, 講師 (50706835)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 空間経済学 |
Outline of Annual Research Achievements |
2017年度に引き続き,人々が将来を見越して立地選択を行う動学モデルの分析を行った.2017年度までの研究で,空間相互作用に対称性を課せば,安定均衡を見つける問題はポテンシャル関数の最適化問題に帰着でき,大域的最大化元のみが安定均衡になることが分かったが,2018年度の研究では,空間相互作用として生産技術の地域間スピルオーバーを考え,地域をノードとしスピルオーバーの有無でリンクを張ったスピルオーバー・ネットワークの性質から安定均衡の特徴付けを行った. 具体的には,スピルオーバー・ネットワークを記述する隣接行列を負定値と仮定すれば,安定均衡での各地域の人口は,スピルオーバー・ネットワークにおける当該地域のカッツ・ボナチッチ中心性の大きさとして特徴付けられることを示した.カッツ・ボナチッチ中心性は,本研究の文脈では,高次のスピルオーバーまで含めたスピルオーバーの総和を,混雑を表すパラメーターで割り引いたものである.なお,スピルオーバー・ネットワークの隣接行列を係数行列とする二次形式で与えられるポテンシャル関数は,上述の仮定のもとでは厳密に凹な関数となるため,ここでの安定均衡は一意な均衡であり,どの初期値からスタートしても全ての空間均衡経路が当該均衡に収束する. カッツ・ボナチッチ中心性は,もともとは社会学の分野で分析されていた指標であるが,ネットワーク・ゲームのリテラチャーでも着目されており,ナッシュ均衡戦略が各プレイヤーのカッツ・ボナチッチ中心性の大きさで特徴付けられることが示されている.ネットワーク・ゲームのリテラチャーでは有限プレイヤーのゲームを考えることが多いが,本研究は同様の特徴付けがプレイヤー集合が連続体で与えられる社会ゲームでも可能であることを示した.
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