2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K20933
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
金田 祥平 東京大学, 生産技術研究所, 助教 (10542467)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | バイオ関連機器 / 癌 / マイクロ・ナノデバイス / マイクロ流体デバイス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,血行性がん転移に関わるとされる血中を循環する腫瘍細胞(Circulating Tumor Cell: CTC)を従来の検出装置と比較して高感度に分離・計数し,複数種類の細胞解析を分離したCTCに対して個別に実施可能なマイクロ流体ウェルプレートの開発を目的としている. これまでに分離ウェル,流路ネットワーク,血液リザーバーを持つウェルプレートの設計を行い,精密ゴム部品製造会社の受託加工サービスを利用し,ウェルプレートを試作した.製作に受託加工サービスを利用できる設計としたことで,量産への対応も可能となった. 実証試験では,試作ウェルプレートと健常者の血液を用いて,目標であった血液10mLの処理が可能であること,血液に懸濁したセルラインのがん細胞(CTCのモデル細胞)の分離が可能であるこを確認した.加えて,フランス・リールにある共同研究先のオスカー・ランブレ・センター(がん専門病院)にて,の乳がん患者(エストロゲン受容体・プロゲステロン受容体・HER2陰性)の血液の提供を受け,クリニカルサンプルでのウェルプレートの実証試験を現地で実施し,がん患者血液の処理が可能であることを確認できた.なお,オスカー・ランブレ・センターでの実証試験については,センター内の倫理審査委員会での承認を得てから実施したものである.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
年度の実施計画の目標であったマイクロ流体ウェルプレートが設計・製作が完了したため.
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Strategy for Future Research Activity |
H28年度の前半には分離操作後のプレート上の各分離ウェルをスキャンし,蛍光染色されたCTCを自動で計数する検出システムを構築する.続いて,蛍光染色試薬を用いた(1) 生存率・アポトーシスアッセイ,がん細胞特異抗原と結合する抗体を用いた(2) 免疫染色によるCTCの特性解析,(3) 抗がん剤反応性試験をプレート上で実施するための検討とその実証試験を順々に実施する. 上記課題について見通しを得た後,がん患者の血液を用いたCTC分離の実証試験を国内で実施するための申請を所属機関の倫理委員会に提出し,その承認が得られた後に試験を開始する.また,フランスに渡航する機会を得られた場合は,共同研究先であるオスカーランブレセンターより乳がん患者の血液の提供を受け,昨年度同様にフランスでも実証試験を実施する予定である.
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Causes of Carryover |
必要な物品を過不足無く調達したが,実際の価格が予想よりも安い物品があったため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
H28年度の物品費への充填を予定している.
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