2019 Fiscal Year Annual Research Report
Study of circulatory dynamic stability and general anesthesia support effect by alpha-2 adrenergic receptor agonist
Project/Area Number |
15K20934
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
室屋 充明 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (90431866)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | デクスメデトミジン / 手術麻酔管理 / 高齢者医療 / 心臓血管外科手術 / 周術期医療 / 交感神経抑制 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、α2 アドレナリン受容体作動薬で、主に集中治療領域で使用されている、デクスメデトミジン(プレセデックス)を、全身麻酔下での成人開心術中に適用する単一施設オープンラベル前向きランダム化比較試験である。 デクスメデトミジンを全身麻酔中補助的に投与することで、①手術中の血行動態の安定(血圧、心拍数の変動が抑制される、手術中の不整脈の発生頻度が減少する)、また②術後回復指標の改善(術後譫妄の減少、鎮痛鎮静薬の使用量減少、人工呼吸器依存期間、ICU 滞在期間、術後在院期間の短縮)を検証することを目的とした。 研究経過中の途中解析では、手術中の血行動態安定に寄与することが認められたが、手術後の良好な経過を示す結果は偏差が大きく、いまだ十分でなかった。引き続きデータの蓄積に努めたが、研究を取り巻く社会的環境の変化(研究法整備、倫理委員会の改組等)に見舞われ、当初予定されたデータ数の確保、またデータの背景因子を一定に解析することが困難となったため、有意差をもって示すには至らなかった。 しかし、心臓血管外科症例に代表されるような予備力の低下した心機能の患者、とりわけ近年増加している高齢患者において、手術刺激に伴う交感神経の亢進や血圧変動は、可能な限り抑制することが手術麻酔管理上、依然として求められている。その一候補として、近年適応範囲が見直されているデクスメデトミジンは、その鎮静作用と交感神経抑制作用により、手術侵襲時における交感神経亢進反応を抑制し、循環動態を安定させる可能性が示された。 また、得られた知見だけでなく、本研究を通じて獲得した研究手法の蓄積は、引き続き本領域の研究を推進させると考えます。
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