2018 Fiscal Year Annual Research Report
First-principles analysis of modification of dielectric response at oxide interfaces
Project/Area Number |
15K20953
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
笠松 秀輔 東京大学, 物性研究所, 助教 (60639160)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 第一原理計算 / 誘電率 / バイアス電圧 / 第一原理熱力学計算 / レプリカ交換モンテカルロ法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、金属/酸化物界面における誘電応答の変調をシミュレーションするための第一原理(量子力学)計算手法の開発と応用を進めた。最初に、金属/酸化物/金属キャパシターに電圧を印加した状況をシミュレーションするための「軌道分離法」プログラムの高速化を進め、開回路および閉回路条件に対応するための機能追加を行った。さらに、電圧印加時の蓄積電荷量の計算手法を開発し、実装した。これを使って、理想的な結晶構造を有する強誘電体・常誘電体2層キャパシタに電圧を印加したシミュレーションを行い、「負のキャパシタンス」が発現すること、その起源は強誘電体分極ドメインのダイナミクスにあることを突き止めた。「負のキャパシタンス」は従来の半導体のスケーリング則を打ち破り、ナノエレクトロニクスのさらなる発展を実現するための有望な現象とされているが、その起源を明らかにしたことで、実用化により一層近づいたと言える。
最終年度では、理想的な界面構造のみならず、より現実的な計算モデルでシミュレーションを行うために、界面の欠陥分布を熱力学的に予測するための計算フレームワークを開発した。熱力学的配置サンプリング計算を行うための並列アルゴリズムであるレプリカ交換モンテカルロ法と第一原理計算を直接組み合わせることで、並列スーパーコンピュータを効率的に利用し、界面の欠陥分布の予測精度を飛躍的に向上した。この計算手法については、界面のみならず、様々な多成分系の物質の不規則性を予測するためのソフトウェアとして、整備および公開準備を進めている。
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