2015 Fiscal Year Research-status Report
Si基板上光学素子作製のための低損失バッファー層の開発と高機能デバイスの実現
Project/Area Number |
15K20960
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
星井 拓也 東京工業大学, 総合理工学研究科(研究院), 助教 (20611049)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 半導体界面評価 / III-V族化合物半導体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は光インピーダンス測定法およびポテンシャル掃引アドミタンス法によるヘテロ界面などの深さ方向の局所的構造に起因する電気特性の評価手法の確立を行った。光インピーダンス測定法では、半導体pn接合中に埋め込まれた量子ドット層の順位の応答を検出できた。これを成長ヘテロ界面に応用することで成長界面に形成される準位を評価することができ、電気特性制御のための知見が得られると期待される。ポテンシャル挿引アドミタンス法では高速原子線(FAB)照射により導入された基板表面近傍の欠陥をショットキーダイオードから観察することができ、照射した原子種による欠陥密度や深さ分布を推定することができた。このことから成長薄膜に対しても欠陥密度および活性化エネルギーの評価が可能になると期待される。並行して、近赤外領域に対応した分光器のグレーティングを導入し、近赤外までの分光光源を有する電気特性測定系を構成した。これは次年度以降のエネルギー分解能を高めた半導体バンドギャップ中の準位測定に用いる予定である。また、結晶成長については現状の装置構成において目的とする半導体薄膜積層構造を実現するための課題抽出を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
先行研究の再現を試みるべく同様の条件を用いてSi(111)基板上でのInAs層の成長を試みたが、MBEチャンバー内でのRHEEDパターンによる清浄基板表面の確認において、基板加熱による酸化膜の除去によって得られることが期待されるSi(111)面上の(7x7)構造を確認できなかったことから、基板前処理の検討に時間を要した。1ML程度のSi堆積による酸化膜蒸発の促進や、水素ラジカル援用基板過熱などを試みたものの、(7x7)構造を得られなかった。比較的良好なストリーク状のRHEEDパターンが得られる前処理条件でのInAs成長も試行したが、三次元成長を起こし、目的とする構造が得られていない。 また、年度途中での所属機関の変更による研究環境の変化もあり、問題への対策を十分にとれなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
計画では同一MBE内で一貫してSi基板上にInAs/GaSb層を成長させる予定であったが、利用可能な装置構成ではSi(111)面上での層状InAs層の獲得が困難であることがわかったため、独立した2つのMBEチャンバーを用いることで解決を試みる。十分な基板加熱能力を持ち、Si基板での成長実績を持つMBEチャンバーにおいてSi(111)面に(7x7)構造を獲得し、InAsバッファー層を形成する。その基板に対し、当初の計画で使用する予定であったSbセルを有するMBEチャンバーでGaSb層(必要に応じてInAs/GaSb層)を成長させ、当初の目的の構造を獲得する。
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Causes of Carryover |
年度途中での所属機関の変更のため研究計画の再考を迫られた。前所属の装置群を継続して使用させていただけることとなったため、大きな変更は必要とならなかったものの、装置の立ち上げに割く時間について問題が予想されたため当初計画していた時期での装置導入は先送りすることとなった。また、進捗の遅れの要因となっているSi基板表面の清浄化に注力したため、MBEの材料金属の補充が年度内に必要とならなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
現在の所属機関において新たに使用することとなったMBEチャンバーは必要な数のKセルを備えているので、これらを用いてSi基板上にInAs薄膜を成長させるための材料および設備(高純度金属、るつぼ、基板ホルダ)などを導入する。
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