2015 Fiscal Year Research-status Report
「現場型グローバル人材育成」による大学のESDモデル構築―レジリアンスに着目して
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15K20981
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
二ノ宮リム さち 東京農工大学, 国際センター, 特任准教授 (90646499)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ESD / 現場体験型教育 / 高等教育 / 大学教育 / レジリアンス / グローバル人材育成 / 持続可能性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、持続可能性とレジリアンスを支えるESDとしての現場体験型教育が、大学に広がるグローバル人材育成の中でどのような可能性と課題を示すかを検討し、「現場型グローバル人材育成」による大学のESDモデルを構築することを目指す。この目的の達成に向けて、今年度は下記を実施した。
1.関連資料・文献レビュー・研究成果整理による研究枠組の構築:大学の「グローバル人材育成」に対する解釈・実践・検証、環境教育やESDを含む教育全般における「レジリアンス育成」の可能性と課題を中心に、情報や論考を検討した。 2.事例調査(参与観察・学生への聞取り):研究代表者が運営に携わる実践事例における参与観察、参加学生への聞取り、その他関係資料によるデータ収集を実施した。 3.他大学の実践から研究対象事例選定・資料収集:国内他大学において取り組まれている現場体験型教育実践について情報を収集し、研究対象とする事例1件を選定、資料の収集と検討を開始した。 4.研究経過および成果の発表と発展:以上の経過や成果について、異文化間教育学会研究大会(6月)、世界環境教育会議(スウェーデン・6月)、日本環境教育学会年次大会(8月)、日本社会教育学会年次大会(9月)、等で発表した。また、論考として「大学院の国際・グローバル教育とESD―『文脈』のなかで研究と学習を結ぶ『現場体験型グローカル教育』」を、日本社会教育学会編『社会教育としてのESD:持続可能な地域をつくる(日本の社会教育第59集)』に掲載、出版した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記のとおり、目的達成へ向けて、関連テーマにおける資料・文献の収集とレビューをおこない、研究代表者が関わる実践事例における参加学生への聞取りや参与観察を通じデータを収集するとともに、他大学の実践における情報収集と研究対象事例を選定し、これらの経緯と成果を複数の学会発表や論考出版を通じて公表することができたことから、当初予定していた活動が概ね順調に進展したといえる。
しかし、当初想定していた、グローバル人材育成実践を通じた学習者と社会―生態システムのレジリアンスと持続可能性向上に対する評価基準の構築については、検討を進めるなかで、考慮すべき関連事項が多数明らかとなり、今後さらに周辺領域に視野を広げて論考を収集し検討を深める必要が生じた。このため、評価基準の構築と、その成果に関する学会発表や論文執筆は、次年度も継続して実施することとした。またこのことから、収集したデータのコーディングによる分析についても次年度に本格実施することとした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、グローバル人材育成実践を通じた学習者と社会―生態システムのレジリアンスと持続可能性向上に対する評価基準の構築に向け、これまで明らかとなった考慮すべき関連事項に関する論考の収集と検討を進めるが、その際、特にグローバルに対するローカルの重要性に注目していく。また事例検討にあたっても、国内を中心とする現場体験型教育実践にも視野を広げ、グローバル人材育成の概念を拡張する。こうした点を重視しつつ、研究枠組の再構築をおこない、データの収集を継続するとともに、本格的な分析に着手する。また、こうした経緯と成果は、引き続き学会発表や学会誌等を通じて公表し、他の関連研究者と共有し、議論を深めていく。
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Causes of Carryover |
当初、グローバル人材育成実践を通じた学習者と社会―生態システムのレジリアンスと持続可能性向上に対する評価基準の構築とそれにもとづくデータ分析を今年度内に実施する予定だったが、検討を進めるなかで、新たに考慮すべき関連事項が多数明らかとなり、今後さらに周辺領域に視野を広げて論考を収集し検討を深める必要が生じた。このため、評価基準の検討を次年度まで継続することとなり、データ分析の本格実施も次年度に開始することにしたことから、未使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
未使用額は、周辺領域に視野を広げての論考・資料収集とデータ分析の本格実施に係る経費に充てることとする。
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