2016 Fiscal Year Annual Research Report
Development of 3D-Magnetic Tweezer System for Live Cell Experiment
Project/Area Number |
15K20994
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
松浦 大輔 東京工業大学, 工学院, 助教 (40618740)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 磁気駆動 / 非接触マニピュレーション / バイオロボティクス / 精密工学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,6本の磁極を用いて微小磁性粒子を非接触駆動する3次元磁気テザーについて,発生力強度と周波数,および力の異方性が許容範囲に納まることを規範として,理論式と有限要素解析に基づき磁極の材質・形状・先端同士の間隔および駆動コイルの巻数と最大印加電流を決定する際の手順を明らかにし,この手順に従って得られた設計パラメータに基づいて生細胞の剛性測定に適する磁気テザー装置を製作した.各磁極のコイル印加電流に対する発生力強度の非線形性を解消するため,各磁極後端に磁気センサを取付け,これを用いた磁束密度の測定情報に基づき駆動電流を決定する,発生力のセミクローズドループ制御系を構築した. 製作した磁気テザー装置の発生力強度を計測するため,硝子製のマイクロピペット先端に直径4.5マイクロメートルの磁性粒子を複数接着したプローブを製作し,磁極駆動コイルに電流を印加した際のプローブの先端変位を画像計測により計測し,これに有限要素解析を用いて算出したプローブ剛性を乗じて発生力を算出した.この結果,コイルに225アンペア・ターンの電流を印加した際の発生力は140pNとなり,事前計算での予測値166pNに対して15%の低下となった.この違いは,ピペットの剛性の計算誤差や磁極先端形状の加工誤差,組立誤差等に由来すると思われるが,得られた値は細胞の変形を生じるのに十分な強さとなった. 装置の有用性のデモンストレーションとして,育成条件が異なる2種類の酵母細胞群に対して力を加えた際の変形に基づき剛性を計測し,ヒストグラムを作成した.この結果,42℃で1時間の熱ストレスを加えた細胞群のヒストグラムが,常温に置かれていた細胞群のものよりも高い剛性値を示し,かつ分布範囲が広がるという傾向が得られた.この結果は他の文献に記載された現象と一致しており,本装置が細胞の力学特性の計測に利用可能であることが示された.
|