2015 Fiscal Year Research-status Report
ジェンダーの観点による理科の学習内容・教授方法における問題点の解明
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15K21010
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Research Institution | Joetsu University of Education |
Principal Investigator |
稲田 結美 上越教育大学, 大学院学校教育研究科, 講師 (30585633)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 理科教育 / ジェンダー / 女子 / 学習内容 / 教授方法 |
Outline of Annual Research Achievements |
女性の科学技術分野参入の抑制要因の一つと考えられる女子の理科学習に対する意識の低さと消極的な態度の改善が、近年強く求められている。このような女子の理科離れを打開・克服するための多様な取組が、学校の内外で実施されるようになってきたものの、学校の理科教育における学習内容や教授方法の観点からの方策については、日本では十分に議論されていない状況にある。 そこで、本研究では「女子と科学学習」あるいは「ジェンダーと自然科学」に関する研究蓄積が豊富な欧米の科学教育における女子の学習促進に関する最新の研究動向を把握することと併せて、理科以外の他教科の教育におけるジェンダーに関する研究を調査し、女子の学習から見た日本の理科の学習内容および教授方法に関する問題点を顕在化させることを目的とする。 平成27年度においては、第一に、日本の理科学習におけるジェンダーに関わる過去の研究および実践を調査して、その動向を明らかにし、今後必要とされる研究の方向性を指摘した。第二に、諸外国における2000年以降の「女子と科学教育」に関わる研究動向を明らかにするため、関連する文献・資料の収集・読解を行った。その際、科学教育研究に関わる欧米の学会誌のみならず、2014年に刊行されたWoman and Gender in Science and Technologyの4冊にも注目した。第三に、他教科の教育におけるジェンダー関連の先行研究を調査し、日本では国語、社会、算数・数学、音楽、体育、家庭科においてジェンダーに関わる研究が行われていることを確認し、その研究動向を整理した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度には、本研究の3種の研究方法のうち、諸外国の研究動向調査と他教科の教育におけるジェンダー研究の調査の2点について、重点的に進める計画を立てていた。これらについては、文献の収集や読解、知見の整理等、ほぼ計画通りに遂行することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度以降は、諸外国の研究動向調査と、他教科の教育におけるジェンダー研究の調査を継続して行うことに加えて、諸外国と日本の理科カリキュラム・教科書に関するジェンダーの観点からの比較分析も行う。諸外国の研究動向調査に基づき、比較分析のための観点を抽出したうえで、欧米諸国の理科カリキュラムおよび初等・中等教育段階の教科書と、日本の学習指導要領および理科教科書の記述を比較する。これらを経て、ジェンダーの観点による日本の理科の学習内容と教授方法の問題点を総合的に分析する。研究の成果については、教育学関連の学会等で発表し、論文にまとめる。
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Causes of Carryover |
他教科の教育におけるジェンダー研究の調査において、国内の研究者を訪問し、インタビュー調査などを行うことを予定していたが、先行研究に関わる文献が予想以上に多かったことから、訪問調査の前にまずは、文献調査を優先させることにしたため。したがって、計画していた旅費の使用が少なくなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度は、前年度に実施できなかった訪問調査を行う計画である。また、諸外国の理科教科書の収集に、かなりの費用が必要となることが予想される。加えて、諸外国の研究動向調査や資料入手のために、海外への渡航も検討している。
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Research Products
(1 results)