2016 Fiscal Year Annual Research Report
Study on Development of a Novel Core Structure of Photochromic Chemical Species by Utilizing Characteristics of the Boron Atom
Project/Area Number |
15K21012
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
吉野 惇郎 富山大学, 大学院理工学研究部(理学), 助教 (70553353)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | フォトクロミズム / カチオン性ホウ素錯体 / 置換基効果 / 構造-物性相関 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度においては、2,2′-ビピリジン配位子およびジシクロヘキシルホウ素部位を有する4配位カチオン性ホウ素錯体を合成し、この化合物が2,2′-ビピリジン配位子および9-BBN骨格を有する4配位カチオン性ホウ素錯体と同様の固相フォトクロミック様挙動を示すことを見出した。この結果は、光応答性4配位カチオン性ホウ素錯体の化学種構造として利用できる構造が狭い範囲の特定の構造に限定されずより多様な構造を利用できうることを示唆しており、今後の応用的利用に向けて重要な発見である。また、2,2′-ビピリジン配位子および9-BBN骨格を有する4配位カチオン性ホウ素錯体の対アニオンを種々変更した錯体についても検討し、対アニオンの酸化電位と光に対する敏感度に相関関係があることがわかった。さらに、種々の雰囲気下での光照射実験から、4配位カチオン性ホウ素錯体の固体状態で光照射して着色させた後、空気中または酸素中では光反応生成物と酸素分子が反応して退色する速い経路があることを明らかにした。これらの成果には、平成27年度の成果(置換2,2′-ビピリジン配位子および9-BBN骨格を有する種々の4配位カチオン性ホウ素錯体を合成し、その光物性および紫外光に対する固体フォトクロミック挙動を明らかにした)と合わせて、4配位カチオン性ホウ素錯体のどの部分の構造が固体フォトクロミック挙動にどのように影響するのかを明らかにでき、また4配位カチオン性ホウ素錯体の固体フォトクロミック挙動の発現機構の中核部分に迫ることができたという意義があり、今後このシステムを活用する際の化学種の構造設計の基本的指針が得られた点で重要な結果である。
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