2017 Fiscal Year Annual Research Report
Extracellular glycans in the brain microenvironment affect neuronal polarity and migration during cortical development
Project/Area Number |
15K21067
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
宮田 真路 名古屋大学, 生命農学研究科, 特任助教 (60533792)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | プロテオグリカン / 細胞外マトリクス / 神経細胞移動 / ヒアルロン酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
哺乳類の大脳皮質が有する秩序だった層構造は、発生期に神経幹細胞から分化した神経細胞が、脳表層まで放射状に移動することで 形成される。しかし、この過程における細胞外マトリクス分子の関与はよく分かっていない。損傷時に分泌されるコンドロイチン硫酸 (CS) プロテオグリカンは、軸索の再生を強く阻害する。しかし、CSプロテオグ リカンは胎生期の脳にも高発現しており、神経細胞への影響は阻害作用に限らないと考えられる。前年度までに、中枢神経系に特異的なCSプロテオグリカンであるneurocanが神経細胞移動に関与することを明らかにした。本年度はneurocanが結合する細胞外マトリクス分子として、ヒアルロン酸に着目し研究を行った。発達段階におけるマウス脳の生化学的な解析から、生後脳に比べ、胎生期の脳にはヒアルロン酸量が多いこと、また、胎生後期から生後初期の一定期間にのみ、比較的短鎖(約200 kDa)のヒアルロン酸が存在することが示された。次に、3種類のヒアルロン酸合成酵素(Has1、2、 3)の発現を解析した結果、胎生期から生後直後の大脳皮質には、Has2とHas3が高発現していた。また、移動中の神経細胞において、Has3の発現は神経細胞が脳室帯から中間帯に移動する過程で顕著に増加し、その後、急速に減少し た。胎生期の大脳皮質において、ヒアルロン酸は辺縁帯と中間帯上部から皮質板下部に局在しており、これはHas3 mRNAの発現部位と 一致していた。詳細な局在解析から、移動中の神経細胞と神経幹細胞が伸ばす放射状線維の接着面にヒアルロン酸が集積することが示された。さらに、Has3の発現抑制によって、神経細胞の移動が遅延することが分かった。以上の結果から、移動中の神経細胞はHas3を一過的に発現することでヒアルロン酸を産生し、神経細胞移動に必要な環境を自らつくり出すことが示唆された。
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