2016 Fiscal Year Research-status Report
カーボンナノチューブにおける新規ラジカル反応の開発と機能性ナノカーボンの創出
Project/Area Number |
15K21073
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
大町 遼 名古屋大学, 物質科学国際研究センター, 助教 (60711497)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | カーボンナノチューブ / 1次元ナノ物質 / チオフェン / ポリマー / ラジカル |
Outline of Annual Research Achievements |
カーボンナノチューブ(CNT)は炭素原子のみで構成される円筒状の物質である。CNTの内部空間を利用した一次元物質の創出についても研究が進んでいる。これらの1次元物質はバルク材料とは異なる特性が発現することから、世界中で精力的に研究が進められている。従来、非常に高い温度条件下における熱融合反応が一般的であり、狙った物質をコントロールして合成することは容易ではなかった。申請者は、解離しやすい炭素-ハロゲン結合を化合物に導入する低温合成法により、CNTの内部にジアマンタン骨格を数珠状につなげたダイヤモンド分子ポリマーの合成に成功している。 本年度では、sp3骨格からsp2骨格へと基質適用範囲の拡大を狙い、芳香族化合物を原料に用いてCNT内部空間におけるポリマー合成を行った。sp3化合物よりも若干の高温を必要とするものの、ジブロモビチオフェンを原料とすることで1次元のポリチオフェンポリマーを合成することに成功した。CNT外部に生成した不純物の除去を必要とするものの、電子顕微鏡による観察および各種スペクトル測定の結果から想定通りチオフェン骨格が繋がったポリマーであることが明らかとなった。CNT内部への内包率も高く、効率的な合成が可能である。また、ラマンスペクトル測定から内部のポリチオフェンからCNTへの電子移動が示唆されるピークのシフトが観測されており、CNTへの安定なnドーパントとしての有用であるポテンシャルを秘めており、この面での研究展開が期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はCNT内での芳香族ポリマーの合成を計画しており、当初の計画通りにポリチオフェンをCNTの内部に合成することに成功している。この知見を元に同様の戦略を用いることで、パイ共役分子の1次元のポリマーの合成へと展開しており、今後ますますの進展が期待できる。また、CNTへのn-ドーパント剤としての機能を見出しつつあり、今後のCNTデバイス応用に向けた展開が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究推進に関しては、まず現在合成に成功しているポリチオフェン内包CNTの物性測定を中心的に進める。n-ドーパント剤としての性能および安定性の評価を行い、この得られた性質をもとにターゲットとなる1次元ナノ物質のデザインへとフィードバックを行ない、ドーパント剤としてより高性能を目指す。また、光学特性やその他特性発現を目指し、その他のポリマーについても効率的な合成および物質の創成に着手する。
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Research Products
(24 results)
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[Presentation] Synthesis of Sulfur-doped Graphene Oxides2016
Author(s)
大町遼, Zois Syrgiannis, 金野泰弘, Maurizio Prato, 篠原久典
Organizer
The 7th A3 Symposium on Emerging Materials, Nanomaterials for Energy and Electronics
Place of Presentation
Buyo, Korea
Year and Date
2016-10-30 – 2016-11-03
Int'l Joint Research
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[Presentation] 新規Gd内包フラーレン誘導体の単離2016
Author(s)
中川 綾乃, 青柳 忍, 大町 遼, 王 志永, 石野 勝真, 北浦 良, 篠原 久典
Organizer
第51回フラーレン・ナノチューブ・グラフェン総合シンポジウム
Place of Presentation
札幌
Year and Date
2016-09-07 – 2016-09-09
Int'l Joint Research
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