2016 Fiscal Year Research-status Report
ボトムアップ型自然資源管理のためのオープンジオデータ活用の有用性の検証
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15K21086
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
堤田 成政 京都大学, 地球環境学堂, 助教 (20650352)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 自然資源管理 / オープンジオデータ / 精度評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではオープンジオデータ(ユーザーが入手可能でありかつ利用・加工できる位置情報を含んだデータ)の自然資源管理への有効活用に向け、オープンジオデータの利活用の実態を調査するとともに、データの質を調べることで、ユーザーにとって利用価値の高いオープンジオデータはどのようにあるべきかを調査・分析する。2016年度に実施したのは主に以下の2点である。
「i. 自然資源管理のためのデータ公開に関する事例調査」オープンデータと対になる機密性の高い希少種管理に関するデータに着目し、このようなデータのオープン化を検討するためのフレームワークを提案した。具体的には、長崎県対馬市において、ツシマヤマネコ保護増殖事業に則り対馬野生生物保護センターを中心に実施されるツシマヤマネコの保護増殖活動に関するデータを対象とした。今後、オープンガバメントやオープンサイエンスを推進するべく、公共事業により進められた保全・研究活動のデータの公開が求められる事態を想定した場合、データの公開が希少種の保全という大目的と合致しない可能性が考えられる。したがって、本研究ではデータの公開により、その影響が保全活動への影響にプラスとなるか否か、また生息環境撹乱リスクを高めるか否かを検討するフレームワークを提案した。ワークショップなどを通じて本フレームワークを活用することにより、データ公開に向けた戦略的な議論を進めることができると期待される。
「ii. オープンジオデータの質的調査」オープンジオデータではユーザーがアクセス可能なデータの量が増加すること、そのデータが正確であることの2点が求められる。本研究では質的な側面に着目し、データがどのような精度を有しているかを面的に把握する手法の開発に着手した。本年度は、地理的加重モデルをもちいて精度評価を空間拡張させるためのモデルのパラメーターの最適化に関する研究をすすめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記「i. 自然資源管理のためのデータ公開に関する事例調査」に関しては、研究成果をまとめ原著論文として発表した。 上記「ii. オープンジオデータの質的調査」に関しては、成果の一部を国際学会で発表したとともに、国際論文としてまとめ投稿中の段階にある。
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Strategy for Future Research Activity |
オープンジオデータの利活用に関する事例の収集を引き続き継続することを予定している。 オープンジオデータの質的分析に関しては、日本国内のいくつかの土地利用データを対象とし、開発中である精度評価手法をもちいた精度分析の実施を予定している。
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Causes of Carryover |
研究手法の開発に重点をおくことがプロジェクト遂行に必要と判断したため、執行が遅延した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
予算を効果的に執行するため、プロジェクト上必須である備品の購入やデータの購入などをすすめる。また現地調査、情報収集のため旅費を執行する。
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