2018 Fiscal Year Annual Research Report
Research on security interests arising from or in connection with carriage of goods or passengers
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15K21089
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
増田 史子 岡山大学, 社会文化科学研究科, 教授 (60362547)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 船舶先取特権 / 船荷証券 / 貨物引換証 / 留置権 / 荷為替取引 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,運送取引に関連して運送品・運送手段等について成立する担保物権とこれに関係する諸制度について調査・検討することにより,運送取引をめぐる関係当事者間の利害状況を明らかにすることを目的とするものである。 最終年度にあたる2018年度においては,まず,船舶をめぐる法律関係と国際私法上の問題について,2017年度までの調査・分析を踏まえ,引き続き検討を行った。この検討結果は,2017年度の実施状況報告書に記載した通り2018年5月に論文として公表したほか(「船舶先取特権とその準拠法―海事債権の実現方法についての序論的考察」柏木昇ほか編『国際取引における現代的課題と法―澤田壽夫先生追悼記念論文集』(信山社,2018)掲載),2018年8月にオーストラリア法の紹介を中心とする補完的な内容の論文を公表した。さらに,2018年度は,2017年度までは手薄となっていた陸上運送取引における物的担保に関し,限定的ではあるものの,近時の法改正や裁判例を踏まえた検討を行った。 当初の研究計画では,運送手段を問わず調査を行い運送取引における物的担保の機能を比較法的検討を通じて明らかにすること,その検討を踏まえて関係する国際私法上の問題について運送取引の安全の観点から検討し一定の方向性を示すことを目標としていた。文献調査を進める過程で,海事法制の特殊性が当初想定していた以上に大きいことが明らかになったため,船舶関係を優先的な検討対象として研究を行ってきた。その結果,船舶の物権関係については,比較法的にみたときの現在の日本法の特徴,これを踏まえると船舶の物権関係の準拠法についてはいかに考えるべきかを,相当程度明らかにできたと考えている。その反面,他の運送手段や運送品をめぐる法律関係については,多くの検討課題を積み残す結果となった。
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Research Products
(4 results)