2015 Fiscal Year Research-status Report
脂質膜表面を介したDNA構造体の自己組織化と機能創出
Project/Area Number |
15K21093
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
鈴木 勇輝 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 研究員 (50636066)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | DNAナノテクノロジー / DNAオリガミ / 自己集合化 / 自己組織化 / 脂質二分子膜 / 原子間力顕微鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,DNAナノテクノロジーと人工脂質膜形成技術の融合に基づく機能性界面の創出と応用展開を目指している.本年度の主な成果を以下に示す:
(1) 脂質膜上でDNAオリガミが拡散できる程度の適度な吸着条件を探ることで,人工脂質膜界面に濃縮されたDNAオリガミを二次元自己集合化させることに成功した.自己集合の構成単位とするDNAオリガミの形状やDNAオリガミ間の相互作用の様式を変更することで,多種多様な二次元パターンのDNA集合体を脂質膜上に作成可能であることも示された. (2) 液中原子間力顕微鏡(液中AFM)を用いた経時観察により,自己集合化構造の成長過程を直接可視化した.特にDNAオリガミ間の連結にπ―π相互作用を利用した場合においては,単量体,及び数個~数十個程度からなる多量体が膜上で互いに結合と解離を繰り返しながら,大型の格子構造へ成長していく様子が観察された.加えて,格子中の点欠陥が溶液中の単量体によって補填・修復される様子を捉えることにも成功した.これらの動的過程の可視化は,二次元自己集合化のメカニズム理解,及び高効率・高収率な格子形成を実現する上で基礎的な知見となりうる. (3) DNA鎖の修飾を介して,DNAオリガミの二次元自己集合化構造上へタンパク質分子を規則的に配置することを試みた.あらかじめビオチン標識したDNAオリガミを二次元自己集合化させ,液中AFM観察中にストレプトアビジン溶液を導入することで,標識位置に対する特異的な結合を実時間で観察することに成功した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた脂質膜界面でのDNAオリガミの二次元自己集合化と複数の二次元パターンの構築を達成でき,それにともなう技術の蓄積がなされたため.また,得られた自己集合化構造上へのストレプトアビジン分子の規則的配置も達成できた.これらにより,次の応用展開に向けた基盤技術は整ったと考える.
|
Strategy for Future Research Activity |
申請者が確立した手法では,自己集合に伴って,DNA構造体によって仕切られた脂質膜のコンパートメントも構築できる.現在,このコンパートメントを利用した分子配置や機能化を検討している.さらに相補鎖形成に基づくプログラムドアセンブリ技術の導入やDNAオリガミの特定面への疎水基導入を行うことで,人工脂質二分子膜に支持された自己集合化構造内における構造単位の表裏及び方向性の制御も可能であると考える.
|