2017 Fiscal Year Research-status Report
溶媒和構造計測手法の研究:拘束空間内における液体の統計力学の開発と応用
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15K21100
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
天野 健一 京都大学, 工学研究科, 助教 (30634191)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | イオン液体 / コロイド粒子 / 平均力ポテンシャル |
Outline of Annual Research Achievements |
(ア):三次元の変換理論を作成したが、この変換では数値不安定性が生じたためその対応策も提案した。しかし、数値不安定性に対応した手法は計算負荷が高く、非常に時間がかかるため、現在もカルサイト上の三次元の水和構造の取得に挑戦している。 (イ):レーザーピンセットでつかんだ2つの粒子間のポテンシャルを測定する実験と理論を組み合せた研究を行った。これにより2粒子間に拘束された空間におけるイオン濃度や高分子濃度などについて分析できないか検討した。 (ウ):コロイドプローブ原子間力顕微鏡で測定されたプローブ―基板間のフォースカーブから、基板近傍におけるコロイド粒子の層構造を計算した。これまでの変換理論を若干改良する事にも成功した。また、コロイド粒子の体積分率や表面電位、基板の表面電位の変化が層構造にどう影響するかも調べた。これらの影響について、測定データを元にした変換理論の結果とモデル理論計算の結果を比較する事で、両者の一致を確認する事ができた。本研究成果が国際雑誌に搭載される事が決定した。本研究は溶媒和構造研究のモデル研究にもなった。 (エ):イオン液体中で原子間力顕微鏡によって測定されるフォースカーブの形状の解釈に関する研究を行い、基板近傍におけるイオン液体の溶媒和構造に関する研究を行った。本研究成果を国際雑誌に搭載した。 (オ):イオン液体中におけるコロイド粒子―コロイド粒子間の平均力ポテンシャルについて理論計算を行い、コロイド粒子表面間に挟まれたイオン液体の性質について検討した。本研究成果を国際雑誌に搭載した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
論文原稿の執筆や査読への対応のため、細かい修正を予想以上に多くする事になったので、その分、研究そのものの進展がやや遅る事となった。また、変換理論の中身が進展するにつれ計算負荷が予想以上に重くなった事も、研究がやや遅れた原因の1つである。
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Strategy for Future Research Activity |
(A)変換理論の改良・高速化・プログラムの追加・検証計算。 (B)イオン液体中における粒子―粒子間平均力ポテンシャルの追加研究。 (C)溶液中に塩や高分子を溶かした場合の粒子―粒子間平均力ポテンシャルの研究。
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Causes of Carryover |
研究がやや遅れたため。また、予定していた学会に参加できなかったため。残額は、粒子間ポテンシャルの測定とデータ解析に利用する。
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Research Products
(9 results)