2015 Fiscal Year Research-status Report
細胞伸張制御におけるアクチン重合調節タンパク質CPの役割
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15K21106
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
藤原 郁子 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (10742075)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 生物物理・化学物理・ソフトマターの物理 / 生物物理一般 / 生命現象の物理 / 顕微鏡技術・イメージング / アクチン / 細胞骨格 / 一分子キネティクス |
Outline of Annual Research Achievements |
【H27年度の研究内容】 遺伝子改変したCP(Capping Protein)とCPの制御タンパク質CARMIL(Capping protein, ARp2/3 and Myosin-I Linker)を用い、アクチン伸張の制御に直接関与する「Uncapping・Weak capping」の機構との相関やCPとの結合を安定化させるメカニズムと第2の結合部位の有無と役割の解明を目的とする。 H27年度はCP変異体(D44N)を作成し、生化学実験と一分子Kineticsを実施し、遺伝子改変部位の機能と影響を調べ、日本生物物理学会にて口頭発表を行った。日本生物物理学会は、申請者の研究手法「一分子キネティクス」の専門家が揃っているため、実験方法から解析方法までを詳しく議論することができ、本研究の成果について多角的なコメントを得ることができた。
【H27年度の研究成果の意義と重要性】 CPは、アクチンフィラメントの一端に結合して更なるアクチンが結合してフィラメントの伸張を阻害するタンパク質である。また、CARMILはCPの解離を200倍速めるタンパク質で、エンドサイトーシス・細胞接着などに関与する重要なタンパク質である。本研究の成果は、細胞の骨格を担うアクチンがCARMILとCPの結合解離によって制御されるメカニズムの解明に必須な知見であり、生物システムの理解・応用の点で意義深い。なおCARMILは葉状仮足形成に関与していることが申請者らの報告から示唆されており(Fujiwara et al.,2014)、創傷治癒時の葉状仮足の制御機構の解明という医学的はもちろん、糸状仮足と葉状仮足の機能の違いをタンパク質レベルで理解するという細胞生物・生物物理学的見地からも、CP とCARMIL によるアクチン制御メカニズムを理解することは非常に重要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
以下の験を行った。 ① 各種変異体を用いた結合解離定数を決定するため、ITC(Isothermal Titration Calorimetry)を用いて熱量変化を計測した。 ② 上記と同様に結合解離定数を決定するため、ビーズ上に固定したCARMILに濃度を変えてCP を結合させるPulldownアッセイを行った。 ③ 遺伝子改変したCP、またはCARMILがどれだけ素早くUncappingを引き起こし、アクチン重合を回復できるのかを理解するために、溶液系実験とTIRFによる1分子顕微観察を行った。
現在、投稿に向けて成果をまとめつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの成果を論文としてまとめ、発表してゆく。
全長CARMILの精製、そしてCARMIL自身の展開・折れ畳みによるON・OFF機能とその制御タンパクとの相関を、アクチン重合調節の機能を含めて明らかにする。
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Causes of Carryover |
本研究に適する実験補助者が見つからなかったため。また実験器具を共用使用できたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本研究に適当と思われる実験補助者を見つけ、効率的かつ精度の高い研究を進める予定である。
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Research Products
(3 results)