2016 Fiscal Year Annual Research Report
Simulation study on the self-assembly of POSS-oligomer bilayer
Project/Area Number |
15K21107
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
吉元 健治 京都大学, 日本-エジプト連携教育研究ユニット, 特定准教授 (00645278)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | POSS / シミュレーション / 無機有機ハイブリッド分子 / 自己組織化 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、半導体デバイスの小型化・高性能化に従い、電子回路パターンの更なる縮小化が求められている。新たな微細加工技術として、ジブロック共重合体の自己組織化を利用したパターニングが注目されている。ジブロック共重合体とは、化学特性の異なる2種類のポリマーが末端で化学結合した複合体で、基板上で塗布・熱処理するだけでミクロ相分離を起こし、ナノサイズ(約10~50nm)の周期パターンを自発的に形成する。このパターンサイズをさらに縮小するには、より小さな分子量でより大きなブロック間斥力を持つジブロック共重合体が必要となる。そこで本研究では、かご型シルセスキオキサン(POSS)と短いアルキル鎖(炭素十数個)から構成される無機-有機複合体に着目し、そのPOSS含有脂質の自己組織化メカニズムについて分子シミュレーションを用いて調べてみた。平成27年度は主に、過去に提案されたPOSS分子の力場をいくつか検証し、POSS含有脂質の分子モデル構築に取り組んだ。その結果、バルクでのPOSS分子やアルキル鎖の結晶の融点を再現するには、A. Strioloらの力場が妥当であることがわかった。H28年度には、A. Strioloらの力場を用いて、数百本のPOSS含有脂質分子(Methyl POSS+直鎖状アルキル鎖1本)から構成される、POSS層と脂質層が交互に重なった周期構造(=自己組織化構造)の熱的安定性について調べた。層状構造の融点をより正確に調べるために界面法を用いたところ、アルキル鎖の炭素数を増加させると、構造全体の融点が減少する傾向が確認された。これはPOSS層よりも融点の低い脂質層の影響が大きくなった結果と考えられ、実験データと定性的には一致している。一方、脂質層がPOSS層よりも先に融解する現象は実験では観測されていたが、今回のシミュレーションでは再現されなかった。
|
Research Products
(2 results)