2019 Fiscal Year Annual Research Report
Rethinking the current relationships between "hunter-gatherers" and "farmers"
Project/Area Number |
15K21109
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Research Institution | Fukui Prefectural University |
Principal Investigator |
加藤 裕美 福井県立大学, 学術教養センター, 准教授 (10646904)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | グローバル化 / 狩猟採集民 / 農耕民 / アイデンティティ / 民族間関係 / 狩猟 / マレーシア / ボルネオ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、グローバル化における『狩猟採集民』と『農耕民』の関係について再考することを目的としている。本年度は、研究期間の5年目にあたるため、研究成果のまとめと執筆、刊行を中心におこなった。 (1)研究成果の国際発信:マレーシア、サラワク州における狩猟採集民と農耕民の狩猟方法の違いについて、英文書籍を刊行した。これは、プナン、カヤン、ブキタン、イバン、クニャなど、サラワク中央部における複数の民族集団の狩猟について、生態環境や社会環境との相関関係を分析したものである。生態環境の指標として、二次林、アブラヤシ・プランテーション、アカシア・プランテーションなどによって、狩猟頭数や狩猟動物がどのように異なるのかを考察した。また、社会環境として、都市からの距離や、村外労働有無、猟師の人数などによって狩猟結果がどのように異なるのかを分析した。分析結果は、ブラガ郡のシハンやシカパンなどの狩猟方法と比較を行った。 ブラガ町とビントゥル市におけるシハンと、カヤンや華人、マレー人などとの婚姻関係について、2019年9月にポーランドで開催された、国際人類学民族科学連合で研究成果を発表した。「狩猟採集民」と「農耕民」の民族関係は、都市部においてより平等でオープンな関係を築く可能性がある。関係性の相違が生まれる背景を2つの地域から考察した。 (2)研究成果の国内発信:東南アジアにおける狩猟採集民と農耕民の狩猟活動について、丸善出版から刊行された日本語の書籍に執筆した。フィリピン、インドネシア、タイなどで行われている狩猟を文献調査からまとめ、マレーシアボルネオ島での狩猟対象、方法などと比較した。また、マレーシア、サラワク州における狩猟採集民と農耕民の民族関係について、同じく丸善出版から刊行された日本語書籍に執筆した。
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