2017 Fiscal Year Research-status Report
アフリカ村落住民の主体的協議に基づく放牧地管理システムの構築と指針の提示
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15K21110
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山本 佳奈 北海道大学, 文学研究科, 特別研究員(RPD) (10723413)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 放牧地 / 家畜飼料 / 農地 / 土地不足 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、放牧地をめぐる対立の事例を複数分析してローカルな合意形成の要件を抽出するとともに、牧草改良活動の導入によって住民の資源管理への積極的関与を促し、これらを踏まえて人々の主体的な協議を基盤とした放牧地管理システムを構築し、その指針を明らかにすることである。 平成29年度は、現地調査をおこない放牧地をめぐる対立の事例について継続的にモニタリングするとともに、放牧地管理の動向について検討した。農地と放牧地の境界をめぐって住民が対立している地区では、外部者である行政官の介入によって解決を図ろうとしているものの、数年が経過しても対立が続いておりなかなか解決することができていない。それにもかわらず、ウシを維持できているのは隣の地区の放牧地の広さに余裕があり、そこに放牧が許されているからである。本来であれば、地区の世帯のうしは、当該地区の放牧地で飼うことが暗黙のルールになっているが、隣の地区が放牧地利用を許容しているのである。この事例より、土地問題が発生している地区の周辺地域の許容によって、対立が激化せずに済んでいることが明らかになった。一方で、放牧地の不足を補うために、トウモロコシのふすまを飼料として積極的に導入する傾向もみられた。また、開発援助によりヘイファー・プロジェクトが実施されており、飼料となる草本を栽培し、乳牛を飼い始める世帯が出現し、このことは在来牛への管理にも影響を及ぼすと考えられる。以上のように、周辺地域との連携や新たな飼料の導入が放牧地をめぐる対立を解消するためのポイントとなることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成29年度は、タンザニアでの現地調査を実施することができ、事例分析を詳細におこなうことができたが、それ以前の年度には現地調査をすることができなかったので、当初の計画からはやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
ウシにとって有効な飼料について検討し放牧地不足を緩和することを目指す。 合意形成のあり方については事例をさらに収集して分析する必要がある。
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Causes of Carryover |
平成27年度および28年度は産休・育休のため、タンザニアでの現地調査がかなわず、海外旅費が未使用となったためである。また、研究自体も遅れているため、平成30年度の計画を実施するための予算も必要である。 来年度予算の使途としては、タンザニアの現地調査のための海外旅費および空中写真の購入、書籍の購入を考えている。
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