2015 Fiscal Year Research-status Report
腫瘍内エピゲノム不均一性を解明する1細胞クロマチン構造解析技術の開発
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15K21113
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田中 梓 京都大学, iPS細胞研究所, 研究員 (70749796)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | エピゲノム |
Outline of Annual Research Achievements |
エピゲノム制御の異常は発がん及び薬剤抵抗性に大きな影響を及ぼすことが示唆される一方、その一因となる腫瘍内のエピゲノム不均一性を解明する解析手法は開発途上である。 本研究課題では1細胞クロマチン構造解析法を開発し、それを用いて治療抵抗性を持つ腫瘍細胞で共通しているクロマチン構造を同定、そこから治療抵抗性に重要な役割を果たす領域、およびその領域に機能すると考えられる転写因子の同定を目指す。また、並行してシークエンス効率を上げるためにミトコンドリアDNAを特異的に排除する手法を開発し、1細胞クロマチン構造解析の効率化を目指す。 初年度は1細胞クロマチン構造解析技術の開発およびミトコンドリアDNAを特異的に排除する手法の開発を行った。一般的にクロマチン構造解析では1×10の6乗オーダー以上の細胞数を必要とするが、最近開発されたATAC-Seq (Assay for Transposase Accessible Chromatin using sequencing) 法により、500個程度の細胞から約3時間でDNAの断片化が終了し、そのDNA断片の配列を解析することでオープンクロマチン領域の検出が可能となった。そこでATAC-seqをさらに改良し、またFluidigm社のマイクロフルイディクスを用いることで1細胞からのクロマチン構造データを取得することに成功した。 ミトコンドリアDNAを特異的に排除する方法としてin vitroで合成したミトコンドリアDNAに相補的な配列を持つRNAの合成を現在行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画通り、初年度は1細胞クロマチン構造解析法の開発に成功した。他の研究室との共同研究も進み、ATAC-seqを用いてiPS細胞から心筋や血液へ分化する際のクロマチン構造解析も行った。これらの研究成果を第40回内藤コンファレンスにて報告した。また、共同研究者として論文がCell Reports誌にアクセプトされた。なお、平成28年1月より産休・育休のため研究中断期間に入っており、中断期間が終了次第研究を再開する。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はATAC-seqを用いて腫瘍細胞および、薬剤耐性を持つ腫瘍細胞のクロマチン状態のデータを収集する。その後、得られたデータを用いてOntology解析及びGenomatixを用いたモチーフ解析を行い、治療抵抗性に重要な役割を持つと考えられる転写因子の同定・機能解析へ向けた検討を行う。
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Causes of Carryover |
初年度は研究室で所有していた試薬を用いて実験を行ったため、新規の試薬の購入は見送った。 また、年度の途中で育児休業を取得したため、パソコンや解析ソフトといった高額な物品購入も見送った。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
育休から復帰後に、購入予定であった解析用のパソコンおよびソフトを購入予定である。 また初年度に見送った試薬の購入も行う。
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