2017 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis of the chromatin status in an ultra-low scale
Project/Area Number |
15K21113
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田中 梓 京都大学, 医学研究科, 特別研究員(PD) (70749796)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 成人T細胞白血病 / エピゲノム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではがん細胞におけるエピゲノムの不均一性を調べるために、シングルセルレベルでのオープンクロマチン解析を目指し手法の開発を進めた。ATAC-seq法を改良した結果1000細胞という非常に少量の細胞からのオープンクロマチン解析が可能となり、貴重なサンプルを用いたオープンクロマチンの解析が可能となった。本研究の後半はこの技術を用い、貴重な細胞でのクロマチン構造解析に焦点を当て研究を進めた。 成人T細胞白血病(ATL)はヒトT細胞白血病ウイルス(HTLV-1)により引き起こされる予後不良な白血病である。ATLでは網羅的なクロマチンの構造解析が行われておらず、本研究ではATAC-seq法を用いてエピゲノムの構造異常の解析を行った。平成29年度をもってATL30症例と比較対照用の健常人9例、またATLと同様にヒトT細胞白血病ウイルスにより引き起こされるHTLV-1関連脊髄症(HAM)7例のATAC-seqデータの取得を完了した。 これらの実験では、ATL症例という細胞数が限られたサンプルを使って実験を行う。そのためこれらの実験には初年度に確立させた"少数の細胞からのクロマチン構造解析技術”の有用性が高い。また、本研究に必須であるHTLV-1ゲノムにコードされるウイルスたんぱく質がATL発症にどのような影響を与えているのという知見をまとめた総説がFrontiers in Microbiologyに掲載された。現在膨大なシークエンスデータの解析により、ATL発症に関わると推定される転写因子の絞り込みが完了し、実験的な検証の準備を開始している。今後はこの転写因子のノックダウン実験を行うなど、実験的にさらなる検証を行いATL発症機序の解明を目指す。 また同じウイルスが原因で引き起こされるにも関わらず全く異なる病態を示すATLとHAMにはクロマチン構造に違いがあることが明らかとなった。今後はATLとHAMという違いを引き起こす因子の同定を目指し、さらなる解析を進める。
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