2016 Fiscal Year Research-status Report
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15K21121
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
管生 聖子 大阪大学, 人間科学研究科, 助教 (50637139)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 人工妊娠中絶 / 周産期喪失 / 心理 / 医療スタッフ / ケア |
Outline of Annual Research Achievements |
2年目である平成28年度は、周産期喪失に直接的に関わる医療者にとって,中期中絶時のケアの体験がいかなるものであるか調査を行い,その心理的側面を明らかにすることを目的とし、研究を遂行した。 予定通り,日本国内の産婦人科施設等に勤務する,もしくは勤務経験のある助産師・看護師を対象とし,中期中絶を中心とした周産期喪失のケア経験の有無,どのような思いをもちながらケアを行っているか,困難と感じる点や葛藤,周産期喪失に関連する研修教育の機会等の有無などインタビューによる調査を5名に実施した。また,国外においてはグリーフケアを積極的に行っている施設も多く、国外の助産師3名にもインタビューを実施することができた。 インタビューデータの収集を終え,ケアに対する葛藤ややりがいなど医療者の心理構造を捉えるため,現在,現象学的手法で分析を試みている。 また,初年度で得られた周産期喪失を経験した母親父親に関する調査結果を第18回国際女性心身医学会および第31回国際心理学会においてポスター2件、口頭1件として発表した。 人工妊娠中絶をした母親の心理的側面については、グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いた分析を行い、論文化している。 スウェーデンの大学病院および総合病院、関連機関を訪問し、超音波外来で医師の陪席を行った。病棟で使用されているグリーフケア用キットの視察も行い、助産師など医療スタッフのケア方法や体験、その心理的側面について調査を行った。人工妊娠中絶に対するケアの現状や課題等について今後の研究の展望と共に、医師や助産師、ソーシャルワーカー、カウンセラー、チャプレン、研究者らと議論をする機会をもち、資料・情報収集を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通り、助産師を対象としてインタビュー調査を実施した。5名の調査協力者のデータが収集で、これは現象学的手法での分析を行うために適切なデータ量である。 また、国外の臨床家や研究者ともコンタクトを良好に取ることが出来、調査データや資料・情報の収集がスムーズに行うことが出来た。 国際学会での発表のほか、査読付学会誌への掲載もあり、順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度の調査結果を日本心理臨床学会で発表する予定である。 平成29年度は、本研究の最終年度である。そのため、これまで蓄積した調査データの分析をさらに精緻化し、結果のまとめと論文化作業を着実に行う。
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Causes of Carryover |
調査データ分析を行う上で整理の一部を自身で行う必要があったため、予定では人件費であった一部については今年度使用していない。 調査協力者への謝金や研究に関連する専門的助言指導への謝金について辞退されたものがあったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
データ分析は引き続きおこなっているため、その際必要な費用として使用する。 国際学会での発表のための旅費が予定より多く必要であったため、次年度の学会出張に必要な旅費に充てる。
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Research Products
(8 results)