2016 Fiscal Year Annual Research Report
The relationship between oral function and dental care in elderly person: a 10-year cohort study.
Project/Area Number |
15K21135
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
榎木 香織 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員 (30632145)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 歯科補綴学一般 / 老年歯科学 / 健康長寿 |
Outline of Annual Research Achievements |
健康長寿を達成するためには,咬合や咀嚼機能がきわめて重要な役割を果たしていると推察される.しかし,欠損補綴治療や定期的なメンテナンスなどが,口腔機能や全身の健康,QOLに影響を及ぼすのかを報告した縦断的研究はみられない.そこで本研究では,10年前に調査を行った平均年齢約65歳の一般市民を対象に追跡調査を行い,補綴治療やメンテナンスの有無が歯や口腔機能,QOLならびに全身の健康に及ぼす影響について明らかにする. 平成27年度は,平成17年度に行った調査のデータが保管されている大阪府老人大学講座の元受講生に追跡調査への参加を呼びかけ,参加の同意の得られた163名について調査を行った.平成28年度も,同様に行い312名について調査を行った.分析は,合計475名(男性248名,女性227名,平均年齢75.4±3.9歳)に対して行い,以下の結果を得た. 義歯の使用割合は,ベースライン時の上顎25.5%,下顎23.6%から,上顎33.7%,下顎36.6%と10年間で増加した.ベースライン時に上下とも義歯を必要としなかった者は336名(70.7%)であり,その中で10年間に少なくとも片顎に義歯となったものは69名であった.新たに義歯を装着した者は,喪失歯数が有意に多く,咀嚼能率が有意に低下した. この10年間のメンテンナンスの受診率は,67.4%であり,受診している者はそうでない残存歯数が有意に多く,フォローアップ時の咀嚼能率が有意に高かった.一方で,歯の喪失歯数やベースライン時の咀嚼能率に有意な差を認めなかった.メンテナンスを行うことによって,歯の喪失を防ぐよりむしろ咀嚼能率の維持に影響を及ぼすことが示唆された. 本研究によって,定期的なメンテナンスの有無が歯や口腔機能に影響をおよぼすことが推察される結果を得た.今後も調査を継続して全身に及ぼす影響も明らかにしていきたいと考えている.
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Research Products
(1 results)