2016 Fiscal Year Annual Research Report
Synthesis and Investigations of Antiaromatic Ring by Using Strain Energy of Non-Planar Pi-conjugated Systems
Project/Area Number |
15K21143
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
西内 智彦 大阪大学, 理学研究科, 助教 (10706774)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ひずみエネルギー / 非平面π骨格 / シクロオクタテトラエン / 反芳香族性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、非平面π骨格のひずみエネルギーの利用を提案し、その機能開拓を試みた。ベルト状やボウル上構造を持つ非平面π共役系は、通常平面構造である芳香環が非平面化する為に高いひずみエネルギーが内在するものの、それを利用した研究展開はされてこなかった。本研究における具体的な非平面π共役系のひずみエネルギーの利用法は、折れ曲がり骨格を持つシクロオクタテトラエン(COT)に着目し左右から引っ張るという非常にシンプルな方法で平面化、すなわち化合物の遷移状態およびそれに至る過程の構造を取り出すものであった。この試みは、遷移状態における分子の構造解明や電子物性の解明に大きく役立ち、π電子系化合物におけるひずみエネルギーの利用について一つの道筋を与えるものになると考えている。 最終年度においては、当初予定していたイミド基を二つ有したCOTの合成が困難であったため、新たに分子設計をしたチオフェン骨格を有したCOT誘導体の合成を試みた。しかしながらイミド基を二つ有したCOT誘導体の合成と同様に、チオフェン骨格を有した目的のCOT誘導体も得ることが叶わず、分子設計の大幅な変更を余儀なくされた。 そこで、より合成が可能であると考えられる分子骨格について検討を行い、量子化学計算によりCOTの構造(平面性)について考察を行った。その際、COTを左右に引く骨格の剛直性の違いがCOTの平面性に大きく影響を与える事が明らかとなり、今後研究を展開する上で興味深い知見となった。
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