2015 Fiscal Year Research-status Report
RET生体可視化ツールを用いた、発生と病理における受容体輸送研究
Project/Area Number |
15K21147
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
伊藤 圭祐 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10575468)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | RET / GDNF / β1-integrin / 変異型RET / 細胞内輸送 / 腸管神経系 / 末梢神経系 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は主に野生型Ret-GFPノックインマウスを使用し、野生型RETの細胞内トラフィッキングをタイムラプスイメージングにより観察した。pre-plating法による末梢神経細胞の純化およびp75-NTR抗体ビーズによる、腸管神経前駆細胞の選別を行い、初代培養による観察を進めており、他の細胞の影響を受けない状況下でのRETのトラフィッキング機構の解析を行った。 またRETのトラフィッキングを制御する因子の候補としてβ1-integrinの可能性を考えており、野生型Ret-GFPノックインマウスとβ1-integrinノックアウトマウスを掛け合わせ、フィブロネクチン上で遊走する腸管神経前駆細胞を観察したところ、RETの膜への集積が増加しているようなパターンを発見した。またRETの輸送速度も、コントロールマウスの細胞と比べ有意に増加していた。このためβ1-integrinがRETの輸送を制御し、また細胞内へのinternalizationを制御している可能性が示唆された。 RETとβ1-integrinの関係を調べるため、まず抗体染色により両者の共局在を調べたところ、全てではないものの、いくつかのシグナルで共局在が認められた。一方で共免疫沈降により生化学的相互作用を調べたところ、両者の相互作用は認められなかった。β1-integrinは、GDNF依存的にRETのアダプタータンパク質やRETのコレセプターであるGFRα1と相互作用することが知られているため、両者の間接的な相互作用が存在し、これがRETの輸送に影響を与えていることが示唆された。 変異型RETについては、これらを発現するウイルスベクターを作成し、まず神経芽腫細胞株に感染させてその輸送動態の解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
野生型Ret-GFPノックインマウスを用いた、野生型RETの解析は順調に進んでいる。変異型RETノックインマウスの作成は、マウス飼育スペースの問題があり保留状態となっている。このためまずは変異型RET-GFPを発現するウイルスベクターを作成し、これをGFRα1のみ発現する神経芽腫由来細胞株に感染させ、その輸送動態を観察するin vitroの実験系を進める。
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Strategy for Future Research Activity |
飼育スペースを確保し次第、変異型Ret-GFPノックインマウスの作成を進める。一方で従来型の相同組み換えを利用したノックインマウス作成法よりも、Crispr/Cas9による1塩基置換の方が早くマウスを得られる可能性があるので、この方策も検討する。 β1-integrinについてはノックアウトマウスの解析をさらに進めるが、目的の遺伝型を得る効率はあまり高くないので、Crispr/Cas9により、Ret-GFPノックインマウス由来の細胞株を用いて遺伝子破壊を行うin vitro実験も検討しており、現在Crispr/Cas9に向けた準備を進めている。
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Causes of Carryover |
次年度に合算して実験用薬品購入に使用する
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
実験用薬品購入に使用する
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Research Products
(2 results)