2015 Fiscal Year Research-status Report
メラノソーム成熟におけるBACE2パルミトイル化の役割
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15K21148
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
仁木 洋子 神戸大学, 学内共同利用施設等, 研究員 (60633617)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | メラノソーム / パルミトイル化 / BACE2 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、メラニン色素を生成する色素細胞に特異的な細胞小器官メラノソーム内でメラニン色素がデポジットする足場であるアミロイド様タンパク質PMEL17形成及びメラノソーム成熟に、PMEL17のプロセシング酵素の1種と考えられているBACE2のパルミトイル化が及ぼす影響を理解することを目的とした。 今回の研究によってBACE2はヒト色素細胞内で2か所のシステイン残基(C476、C496)がパルミトイル化を受ける可能性が高いことが明らかとなった。またパルミトイル化阻害剤2-ブロモパルミチン酸を色素細胞に暴露するとメラニン生成が亢進し、これはメラニン生合成の鍵酵素であるチロシナーゼの分解阻害に起因すると以前に我々は報告したが、今回、パルミトイル化の阻害によってBACE2発現量は変化しないが、その一方でPMEL17タンパク質発現レベルそのものが増加することが明らかとなった。そこでPMEL17自身のパルミトイル化を検討した結果、パルミトイル化を受ける可能性が高いと示唆されたが、詳細は今後の検討課題である。以上の結果から、PMEL17及びメラノソーム成熟には当初予想していたプロセシング酵素であるBACE2のパルミトイル化ではなく、PMEL17自身のパルミトイル化が関与している可能性も見出された。PMEL17は、メラニンモノマーの重合を促しメラニン生成を亢進する可能性も報告されており、PMEL17のパルミトイル化によるメラニン生成及びメラノソーム成熟の制御機構の理解を深めるため検討を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
BACE2のパルミトイル化によるPMEL17のプロセシング及びメラノソーム成熟を調べる計画であったが、実験の過程において、PMEL17そのもののパルミトイル化が上記項目に大きく影響を及ぼす可能性が示唆され、研究計画を修正したため多少の遅れが生じている。しかしながら、使用する手法は当初計画中に記載した通りであり、大幅な進捗の遅れは今後生じないと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初はBACE2のパルミトイル化がPMEL17のプロセシングやメラノソーム成熟に及ぼす影響を解析する予定であったが、PMEL17自身のパルミトイル化がメラニン生成及び、メラノソーム成熟に関与する可能性が示唆された。そこで研究計画において研究が当初計画通りに進まない場合の対応に記載した通り、PMEL17の働きに着目し検討を進める。具体的には、パルミトイル化阻害剤を添加培養したメラノサイトでのPMEL17の切断を、各切断片特異的な抗体を用いてウェスタンブロット法で確認する。またメラニンモノマーの重合に及ぼす影響及びメラノソーム成熟におけるパルミトイル化の役割をメラニンのHPLCによる微量化学分析やメラノソームの電子顕微鏡観察(一部外注)で解析する予定である。
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Causes of Carryover |
結果から判断し、当初に計画していた試験内容から修正を実施し、当初の計画より進捗がやや遅れたこと、また計画修正後に手持ちの試薬、抗体、消耗品などが使用できたために使用した資金が予想を下回り、次年度に繰越した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今後繰り越した資金は、本研究を迅速に進めるために市販で入手可能な物は購入し、蛍光抗体染色に必要な各種抗体及び試薬類の購入、ノックダウンに使用する合成siRNA、電子顕微鏡観察の外注、また学会発表や論文投稿に係る諸経費に未使用額を充てることとしたい。
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