2015 Fiscal Year Research-status Report
その場ラマン分光法による次世代リチウム二次電池用ケイ素負極の反応機構の解明
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15K21166
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
道見 康弘 鳥取大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (50576717)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | リチウム二次電池 / ケイ素負極 / ラマン分光 / その場測定 / 相変化 |
Outline of Annual Research Achievements |
初めに本研究の目的達成のために必要不可欠なその場 (in-situ)ラマン測定系を構築した.横向き対物レンズアダプタや精密XYZステージなどを導入して既存のラマン分光装置を改良した.また,正確な電気化学測定を行うための3極式ラマンセルも導入することにより平成27年6月末にin-situラマン測定系を完成させた. 次にガスデポジション (GD)法により作製したケイ素 (Si)単独電極を用いてSiのin-situラマンスペクトル測定を行った.初期状態では結晶質Si相に由来するピークが520 cm-1付近に確認されたが,電極電位の低下,すなわちSiとLiとの合金化反応の進行とともにこのピークの強度が0.2 V vs. Li+/Li付近から減少した.また,室温でSi負極を100%充電させるとLi15Si4相が形成することが報告されているが,本研究においてLi15Si4相に由来するピークは確認できなかった.他方,電極電位を初期電位で保持すると490 cm-1付近に非晶質Siに由来するピークが再び出現することを確認した. メカニカルミリングにより合成したLi13Si4やLi22Si5などのLi-Si合金単一相のラマンスペクトルが報告されていることから,本研究でLi15Si4相のピークが検出されない理由として,(i) GD法により作製した電極のSi量が少ないため十分なピーク強度が得られない,(ii) Li15Si4相がラマン不活性である,という2つの可能性が考えられる.そこで,(i)の可能性を確認するためにSi量の多い塗布電極を用いてラマンスペクトルを測定したが,先の結果と変わらなかった.現在は粉末X線回折にてLi15Si4相が形成されていることを確認した試料に対してラマン分光測定を実施し,(ii)の可能性を検討中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度の研究実施計画に基づきin-situラマン測定系の構築し,これを用いたSi単独電極に対するin-situラマンスペクトル測定を開始していることから,達成度は「おおむね順調に進展している」と判断した.当初の予測とは異なりラマンスペクトルにおいてLi15Si4相由来のピークが検出できなかったためマッピング測定には着手できていないが,当初の予定には無かったLi15Si4相のピークが確認出来ない要因の解明を試みている.
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Strategy for Future Research Activity |
現在は50倍の対物レンズを用いており,強度の弱いピークを検出できていない可能性がある.そこで,来年度は倍率の高い100倍の長作動明視野対物レンズを導入してLi15Si4相がラマン不活性か否かを見極める. Li15Si4相がラマン活性であると判断できた場合は,平成28年度の研究実施計画に基づきイオン液体電解液および添加剤を加えた電解液を用いてin-situラマンスペクトル測定を行い,動作状態におけるSi単独電極の相変化に関する基礎的知見を得る.他方,Li15Si4相がラマン不活性であると判断した場合は活物質をSiに限定せずチタン酸リチウムや酸化チタン等のチタン酸化物系材料の相変化も追跡していく予定である.チタン酸化物系材料は車載用リチウム二次電池の負極活物質として実用化されていることから,電位変化にともなう相変化を理解し反応機構の基礎的知見を得ることは極めて重要である.また,チタン酸化物系材料がナトリウムイオンを電気化学的に吸蔵-放出することを明らかにした研究報告が数件あり,ナトリウムイオン電池の負極材料としても利用可能である.しかしながら,その時のラマンスペクトルを測定した報告例は皆無であることから,これについても測定を行う予定である.
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Causes of Carryover |
当初に予定していたマッピング測定を行わなかったため電解液等の消耗品を購入せず次年度使用額 (\361,623)が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初は国際学会に1回参加する予定であったが,本研究に関連の深い別の国際学会が国内であるため,この旅費に次年度使用額を充てる.また,Li15Si4相がラマン不活性であった場合,新たにチタン酸化物系材料を購入する必要があるので,これにも次年度使用額を充てる.
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Research Products
(2 results)