2015 Fiscal Year Research-status Report
排尿アセスメントに基づいた夜間転倒ハイリスク者を識別するアルゴリズムの開発
Project/Area Number |
15K21174
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
宮本 まゆみ 島根大学, 医学部, 助教 (80551746)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 夜間 / 排尿 / 排尿パターン / 離床 / 入院高齢者 / 転倒リスク |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,①夜間の膀胱内尿量の変化と離床行動を分析し,夜間離床しやすい排尿パターンを明らかにすること,②入院高齢者の排尿パターンと認知機能・日常生活動作等の情報を統合して夜間転倒リスクのレベルやタイプを識別するアルゴリズムを開発することである。 平成27年度は,高齢者の転倒と排尿障害に関する文献・資料収集,専門家への尿量測定方法の確認,離床行動を解析するプログラムの作成を行った。また,これまでに行った健康な青年13名を対象とした予備試験結果を解析し,プロトコルの検討と本試験でのデータ収集に向けての準備を整えた。 予備試験の解析では画像データから排尿目的による離床場面を抽出した。そして,一定の蓄尿率における離床率を割り出した。ここでの蓄尿率とは,測定中の被験者の膀胱内尿量が最大になったところを蓄尿率100%とし,それに対する膀胱内尿量の割合のこととした。排尿目的による離床は63回確認された。蓄尿率における離床率は,蓄尿率70%以上で71.4%(離床45回)で最も多かった。一方,蓄尿率が低いものでは,蓄尿率50%未満での離床率が14.3%(離床9回)であった。蓄尿率が70%を超えると排尿目的の離床行動を起こす傾向があることが示された。蓄尿率が低いにもかかわらず離床した理由としては,被験者の姿勢やプローブの装着位置が影響していると考えられた。正しいデータ測定にはプローブ装着について熟練した技術が必要であることがわかった。 今後は入院および施設入所者を対象とした研究を行い,基本情報,認知機能評価,身体機能評価,転倒既往,薬剤の使用などの項目も調査する。排尿パターンは,膀胱用超音波画像診断装置を用いて膀胱内尿量の経時変化を測定し,夜間の排尿状態(頻尿,多尿,残尿量など)を把握する。夜間の離床行動は,画像データと尿動態とを照合して排尿目的による離床であったかどうかを判断していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では,膀胱用超音波画像診断装置を用いて対象者の膀胱内尿量を測定し,排尿機能をアセスメントする必要がある。使用する機器を用いた尿量測定について熟練した技術を持ち合わせたスタッフの協力が不可欠であり,その調整と実施体制作りに時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究実施に向けて施設とスタッフの協力は得られている。平成28年度は,検討したプロトコルをもとに,主に大分県の病院施設においてデータ収集・解析を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
実際のデータ収集はこれからであり,病棟に設置する測定したデータ保存用のパソコンが一部未購入であるため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今後の主な研究協力施設は大分県の施設となる。打合せの旅費,データ保存に使用するノートパソコンの購入などを考えている。
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