2016 Fiscal Year Research-status Report
心肺停止病態に対する低酸素選択的ナノDDS製剤を用いた脳神経障害根治薬の開発
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15K21178
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
座間味 義人 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学系), 講師 (70550250)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 心肺停止 / 脳神経障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
心肺停止患者を救命できたとしても社会復帰できるのが約7%と非常に低い値となっている。本研究では、心肺停止患者の社会復帰を促進する新規的脳神経障害根治薬の開発を目指す。心肺停止患者の社会復帰を阻んでいるのは、心肺停止に伴う低酸素によって不可逆的に生じる脳神経障害である。申請者は、心肺停止病態に伴う低酸素によって損傷した神経を障害部位特異的に保護することができれば、脳神経障害の根治に繋がるという着想に至った。本研究では、ナノDDS製剤を切り口として心肺停止患者の神経障害部位である低酸素領域へ選択的に神経保護作用を有する物質を送達する新規的脳神経障害根治薬を開発することを目的とする。
現在、低酸素選択的ナノDDS製剤が低酸素条件下で神経保護作用を示すかを検討するために、神経分化させたPC12細胞を用いたin vitroの系を確立している。 ラット褐色細胞腫PC12細胞に1週間NGFを添加することで神経細胞に分化させた。その神経細胞を低酸素インキュベータを用い1%酸素条件下に3, 6, 12時間暴露させると時間依存的に細胞増殖が抑制されることが明らかとなった(3時間: 61%, 6時間: 54%,12時間: 9%)。以上より、今回確立したin vitroの系は低酸素選択的ナノDDS製剤が低酸素条件下で神経保護作用を示すかをどうか検討するのに有用であると考えられる。今後は心肺停止モデルラットを用いたin vivo の系を確立して、新規脳神経障害改善薬の開発を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度の研究目的は、低酸素選択的ナノDDS製剤を介する神経障害根治作用をin vivo の系で評価するために心肺停止モデルラットを作製することであった。しかしながら、モデル作製の成功率が低く未だ心肺停止モデルラットを用いたin vivo の系を確立できていない。 したがって、当初の計画通りには進展せず、やや遅れている状況となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究では、マウス静脈内から塩化カリウムを投与して心肺停止状態を8分間維持した後心臓マッサージやアドレナリン投与により心肺蘇生させて、心肺停止モデルラットを作製する。心肺停止症例を用いた臨床研究からニトログリセリン、硝酸イソソルビド、チオペンタールが新規脳神経障害改善薬の候補になることを見出しているので、それらの既存薬剤を用いてナノDDS製剤を設計・合成する予定である。
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Causes of Carryover |
当初、購入を予定していた神経細胞に関して、国内の研究室から分与していただいたため低予算で研究が実施できた。その購入に使用する予定であった経費が次年度に繰り越されることとなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度への繰り越し分については当初の予定通り、心肺停止モデルマウスの作製に必要な飼育費・餌代など消耗品の購入などに充てる。
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Research Products
(11 results)
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[Presentation] 外来診療棟を主としたMRSAの実態調査2016
Author(s)
柴田 高洋, 今西 正樹, 座間味 義人, 中村 敏己, 寺岡 和彦, 石澤 啓介
Organizer
医療薬学フォーラム2016/第24回クリニカルファーマシーシンポジウム
Place of Presentation
滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール(滋賀県大津市)
Year and Date
2016-06-25 – 2016-06-26
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