2015 Fiscal Year Research-status Report
新規培養法を用いて同定したマーカーは炎症性腸疾患の治療ターゲットとなりうるか?
Project/Area Number |
15K21179
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
高原 政宏 岡山大学, 医学部, 客員研究員 (80738427)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | CD4 + T細胞 / CD25 / 制御性T細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
慢性腸炎マウスモデルの腸管粘膜内CD4+T細胞(LPCD4+T細胞)から生存能、腸炎惹起能の高い細胞を抽出する新規培養法を開発し、これらの細胞に発現が亢進している複数のマーカーを同定した。本期間における我々の実験計画は、同定した複数のマーカーCD25、α4β7、CXCR3における ①抗アポトーシス分子であるBcl-2の発現、テロメア長の測定の検討、②腸炎惹起能/多分化能の検討であった。 Bcl-2の発現に関しては既に行っており、それぞれの分画の陽性細胞には発現が亢進していた。CD25には、細胞内転写因子であるFoxp3陽性の制御性T細胞の分画が含まれており、この分画を除いたうえでの評価が必要であったが、施設の関係で、使用予定であったFoxp3レポータマウス(遺伝子改変マウス)の飼育、購入が困難であっため、テロメア長の測定はまだ、未実施である。複数のマーカーに関する腸炎惹起能/多分化能の検討に関しては、CD25陰性、陽性で腸炎惹起能を検討したが、CD25陰性の方が強い腸炎を発症する結果となった。これは、先程のべた様に、CD25には、Foxp3陽性の制御性T細胞の分画が入っており、このため、CD25陽性分画は腸炎が抑えられたと思われる。このため、制御性T細胞の分画を除いた上での検討が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
施設の関係で、使用する遺伝子改変マウスの飼育、購入が困難であったため、予定の実験が施行できなかった。 腸管粘膜のリンパ球を、マーカー別に分取することが、予想以上に難しく、時間を要した。また、移入腸炎マウスの腸炎の出来が思ったより弱く、実験に使用するのに十分な細胞数を得る事が難しかった。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、遺伝子改変マウスの飼育、購入は可能な状態であり、既に、Foxp3レポータマウスは頂き、飼育中である。この遺伝子改変マウスを使用して、前年度の実験を進めていく予定である。既に、予備実験はすませている。また、このマウスを使用し、同定したマーカーのサイトカイン産生能を、陽性細胞、陰性細胞にわけて、フローサイトメトリーで測定する実験も付け加え、検討する。 移入腸炎マウスの作製に関しては、移入使用する細胞数を少し増やしたりして、作製を工夫して行い、リンパ球をマーカー別に分取することに関しては、専門家にアドバイスを頂き、進めていく予定である。 α4β7に関しては、現在日本で抗体製剤の治験が既に勧められており、検討する意義は低いため、次年度からは、実験対象から外す予定である。
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